総合健診
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原著
  • 中尾 杏子, 井出 博生, 武藤 繁貴, 鳥羽山 睦子, 古橋 啓子, 古井 祐司
    原稿種別: 原著
    2020 年 47 巻 3 号 p. 431-439
    発行日: 2020/05/10
    公開日: 2020/09/15
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】健康状態や生活習慣のモニタリングを行うICTツールの活用と健診の継続受診との関連およびモニタリングツールの利用頻度と健診結果の変化との関連について検証することを目的とした。

    【対象と方法】2013年度に特定健診を受診した40~74歳の人(n=43,043)を対象に、健診受診後のモニタリングツール利用有無別の2014年度の健診受診率を比較した。比較においては、傾向スコアマッチングによる交絡因子の調整を行った。また、モニタリングツールの利用回数と健診結果の変化との関連についても利用回数別の層別解析や重回帰分析により検証を行った。

    【結果】2013年度の健診受診者のうち、男女別の傾向スコアマッチングを行い、2014年度の継続受診割合を比較したところ、男性の継続受診割合は利用群81.9%、非利用群72.5%、女性の継続受診割合は利用群77.7%、非利用群70.0%となり、いずれも利用群の継続受診割合の方が有意に高かった。また、男性においてはモニタリングツールのログイン6~11回および12回以上の群で、2014年度の健診におけるBMIや腹囲が有意に減少していた。

    【結論】健診の受診後にICTツールを利用して健康状態および生活習慣をモニタリングすることは、次年度の継続受診にも関連していることが示された。これは、自身の健診結果を認識し、生活習慣を意識することが、健康に対する関心や次年度の健診を受けるモチベーションを高めている可能性が考えられる。さらに、男性においてモニタリングの頻度が高い人は次年度の健診結果も改善の傾向が見られており、自己モニタリングの実施によって継続受診および健康増進が促される可能性が示唆された。

  • 法水 淳, 良本 佳代子
    原稿種別: 原著
    2020 年 47 巻 3 号 p. 440-445
    発行日: 2020/05/10
    公開日: 2020/09/15
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】健診受診者および入院患者の多面的医学知識を評価し、食習慣や運動習慣、癌の進行度との関連を検討した。

    【対象】健康診断部受診者 73名 (study 1)、癌患者 32名 (study 2) の計105名。

    【方法】多面的医療知識の評価として①医学の基礎知識 (病気、疾患に関する知識) ②健康保険、しくみ ③医療機関にかかる際の費用の3つの項目に関する試験を実施、得点率を算出した。食習慣や運動習慣の違い (study 1)、更には癌の進行度による違い (早期癌/進行癌 study 2) を検討した。食・運動習慣に関しては問診票より、良・悪の食習慣、および良い運動習慣 (週に2回以上運動する、なるべく歩く等) をポイント制にして算出し、上記の得点率と関連性を検討した。

    【結果】各studyにおいて背景に有意な差は認めなかった。得点率上位の受診者は有意によい食習慣、運動習慣を有した (study 1)。また、早期癌群は進行癌群に比し、①から③すべての分野別および総得点率が有意に高値であった (study 2)。

    【考察】健康意識が高いと考えられる人間ドック受診者の中でも良好な生活習慣を持つ人や、早期発見された癌患者において多面的医療知識が高かったことは、医療者以外の人々が自ら医療知識を持つことの重要性を示すと考えられた。これからの健康社会の実現のため、患者・受診者各々の意識改革を行い、多面的医療知識を持つことの必要性を認識したい。

  • 杉原 栄一郎, 野村 美加, 田澤 美香代, 山田 敏江, 高橋 雄一, 福田 洋, 内藤 俊夫
    原稿種別: 原著
    2020 年 47 巻 3 号 p. 446-451
    発行日: 2020/05/10
    公開日: 2020/09/15
    [早期公開] 公開日: 2020/05/01
    ジャーナル オープンアクセス

     慢性閉塞性肺疾患(Chronic obstructive pulmonary disease; COPD)の早期発見は難しく、未診断のCOPD患者は多く存在すると言われている。近年、COPD質問票の有用性や利用の推奨がされているため、今回、企業健診において、COPD質問票を導入し有用性を検討した。2018年4月~2019年3月の間にライオン株式会社本社地区の健康診断受診者の中で、40歳以上の喫煙者に対して、COPD質問票としてIPAG(International Primary Care Airways Group)質問票を実施した。またCOPDの二次検査(スパイロメトリー)を行ったものに対しては禁煙に関する行動変容ステージの調査を行った。40歳以上の喫煙者229名中、IAPG回答者は171名(74.7%)で、IPAG 17点以上のCOPD疑いは62名(36.3%)存在した。このうち、二次検査(スパイロメトリー)受診者は36名(58.1%)認め、COPD診断例は8名(22.2%)であった。COPDの病期はⅠ期4名(50%)、Ⅱ期3名(37.5%)、Ⅲ期1名(12.5%)であり、呼吸器症状はすべての例で無く、健診時での胸部レントゲンで気腫性変化を有するものは認めなかった。また、二次検査(スパイロメトリー)受診者36名のうち、禁煙の行動変容ステージを認めた者は13名(36.1%)認め、6名が禁煙の維持期まで到達した。企業健診においてCOPD質問票を活用することは、早期発見の上昇や禁煙への動機付けになる可能性が示唆された。

  • ─保健指導における臓器障害予防の観点から─
    菊地 恵観子, 西﨑 泰弘, 石垣 洋子, 森山 紀之
    原稿種別: 原著
    2020 年 47 巻 3 号 p. 452-462
    発行日: 2020/05/10
    公開日: 2020/09/15
    [早期公開] 公開日: 2020/05/02
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】メタボリックシンドローム(MetS)は内臓脂肪型肥満に高血圧、高血糖、脂質代謝異常が組み合わされた状態で、動脈硬化性疾患を生じやすい病態とされている。従来のシンドロームXやマルチプルリスクファクター症候群から派生した概念であるが、診断項目以外の検査項目への関心は低くほとんど報告されていない。本研究では、腹囲のみ基準を超えている場合およびMetS診断項目の違いが肝機能や腎機能に対する影響を検討し、保健指導時における臓器障害予防への示唆を得ることを目的とした。

    【対象】2016年度に医療法人社団進興会せんだい総合健診クリニックにて特定健康診査項目を受診した、高血圧症、糖尿病、脂質異常症の服薬および脳卒中、心臓病、腎臓病の治療歴が無い男性4,830人(50±6.8歳)、女性4,328人(50±6.5歳)とした。

    【方法】Mets診断基準に沿って“腹囲”“高血糖”“脂質代謝異常”“高血圧”の該当項目により(1)MetS非該当(腹囲非該当)、(2)MetS非該当(腹囲該当)、(3)腹囲+糖代謝、(4)腹囲+脂質代謝、(5)腹囲+血圧、(6)腹囲+糖代謝+脂質代謝、(7)腹囲+糖代謝+血圧、(8)腹囲+脂質代謝+血圧、(9)腹囲+糖代謝+脂質代謝+血圧の9群に群分けし、男女別に年齢、AST、ALT、γ-GT、UA、Cr、TP、Albについて群間比較を行った。

    【結果】分散分析の結果、男女ともに年齢、AST、ALT、γ-GT、UAで有意差が認められ、AST、ALT、γ-GTは脂質該当で高値、UAはMetS診断項目該当が多いほど高値を示す傾向にあった。Crは男性のみ有意差が認められ、脂質および血圧該当の場合に高値を示す傾向にあった。男女ともにALT、UAは(2)MetS非該当(腹囲該当)の場合に高値を示した。

    【まとめ】MetSやMetS予備群のみならず、腹囲のみ基準を超えている場合にも肝腎関係の検査値が高値を示した。今回の解析結果から、診断結果だけに注目するのではなく、腎機能、肝機能などの特徴的な変化にも着目し指導につなげる必要性が示された。

調査報告
  • ~アンケート調査より~
    渡邉 倫子, 佐藤 ひとみ, 菅原 由紀江, 附田 順子, 後藤 敏和, 菊地 惇
    原稿種別: 調査報告
    2020 年 47 巻 3 号 p. 463-468
    発行日: 2020/05/10
    公開日: 2020/09/15
    ジャーナル オープンアクセス

     厚生労働省「標準的な健診・保健指導プログラム、平成30年度版、健診の検査実施方法及び留意事項 (3) 血圧の測定」および、その中で参考とされたいとされた「循環器病予防ハンドブック第7版、血圧①血圧測定法とその評価法」には、測定回数は原則2回とし、その平均値を用いる、測定前の運動、食事、タバコ、寒冷暴露、会話などの血圧測定に影響する条件を避ける、あらかじめ排尿させ5分以上の座位安静をとった後に測定、測定部位は右上腕とし、測定は1分以上の間隔をあけて2回以上行い、差が 5mmHgあるときには安定するまで追加測定を行う、と記載されている。短時間に多数の受診者の検診を行う当機構では、これらの要因を順守することは容易でない。健診機関における血圧測定法の現状につきアンケート調査を行った。日本対がん協会および結核予防会都道府県支部の48健診施設にアンケートを送付し、32施設から回答を得た。10施設 (31.3%) が測定前の安静時間をとっていたが、長さを2~3分としているところは1施設 (10.0%)、定めていないところが5施設 (50.0%) だった。全施設で職員が測定しており、看護師のみ、が71.9%と最多であった。常時2回測定しているところは、6施設 (18.8%)、1回目で高い時のみ2回目を測定しているところは、22施設 (68.8%)、測定値として2回の平均をとっているところは、10施設 (31.3%)、低い方をとっているところは11施設 (34.4%) であった。全32施設で2回以上測定することがあったが、間隔をおいて測定するところは、23施設 (71.9%) あり、そのうち、1~2分間間隔をおいているところは2施設 (8.7%)、決めていないところが19施設 (82.6%) だった。測定中に会話をしないように指導しているところは28施設 (87.5%) だったが、深呼吸の指示を行っているところが、24施設 (75.0%) あった。健診施設に於いて、厚生労働省の標準的な健診・保健指導プログラムに記載されている推奨要件に従って健診を行うことは極めて難しい現状が示された。

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