2020 年 47 巻 5 号 p. 539-545
1999年に、東京慈恵会医科大学は、日本では初めて人間ドックの施設としての基本検査項目としてウエスト周囲長(WC)を導入した。男性のWC85cm、女性のWC90cmが内臓脂肪面積 100cm2 に相当する。内臓脂肪の蓄積状態を反映するWCは簡単に測定することができる。これらのカットオフデータは、心血管障害を伴うメタボリックシンドロームの診断基準として採用された。肥満の基準は、日本ではBMI≧25kg/m2 と定義されている。
対象者は1999年から2018年までの人間ドック受診者、30歳から79歳までの男性122,567人、女性54,267人である。年度毎にWCとBMIの上記の診断基準を満たす該当率を性別、5歳刻みの年齢群で求めた。20年間の推移を明らかにするために、年度別データから線形近似で解析した。
男性では55~69歳でBMI、WCともに増加していた。男性では30~39歳でBMI、WCともに減少した。男性の40~54歳と70~79歳では、BMIは増加したが、WCは減少した。女性では、30~34歳と65~69歳でBMI、WCはともに減少し、50~64歳では増加した。そのほかの年齢群では、BMIの減少とWCの増加が見られた。腹囲に関する国からの報告では、特定健康診査調査と国民健康・栄養調査がある。本研究のデータは、大多数で実施される特定健康診査調査結果に近かった。