総合健診
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日本総合健診医学会 第48回大会
日本総合健診医学会 第48回大会・共催シンポジウム1 トライアングルレボリューション 検査値を読み解くうえでの注意点~病態を見極め、実践で活かすためのアプローチ~
山田 千積増田 由美高松 千織岸本 憲明後田 奈々護山 健悟高清水 眞二久保 明西﨑 泰弘
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2020 年 47 巻 5 号 p. 585-590

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抄録

 健診・人間ドックは「受けっぱなし」(医療者からみると「やりっぱなし」)ではその意義を失う。特殊で高額な検査に頼らずルーチン検査からであっても、健診・人間ドックの検査結果には健康寿命を延ばすヒントが多く詰まっており、読む者次第で驚くほど豊富な情報が得られる。急性疾患から生活習慣病などの慢性疾患まで、結果からどのような病態が読み取れるのか、またそれをどう実践的に生かすのか?、いま、現場では更なる具体的なアプローチが求められている。

 基準範囲とは、一般的に「健常人の95%が含まれる検査値の範囲」と定義されているが、絶対的なものではない。基準範囲内にある場合、多くはアルファベットの結果判定がAとされる。受診者はそれだけをみて一喜一憂することもあり、医療者はそれだけをみて「問題ない」と判断することもある。血液検査においては、検査値の経年変化をみることが重要であり、判定結果に関わらず、前回、前々回からの推移を確認しなければならない。数値がこの数年で少しずつ基準値の上限に近づいてきていないか、あるいは急激に悪化していないか、などを見極めることが必要である。

 また、1つの数値にとらわれていないだろうか。病気やそのリスクの有無については複数の指標で判断されるため、1つの数値が基準範囲内だからといって、安心はできない。年齢とともに「要経過観察」や「再検査」といった判定が出やすいのが血圧、脂質、糖代謝、尿酸値といった生活習慣病関連の項目である。一方で、全てを基準範囲内に収める必要はあるだろうか。ある値が体質的に基準値より高め・低めでも、健康な方々はおり、いわば「個人の基準値」も考慮すべきである場合もある。

 検査結果を読み解くためのアプローチとしては、①検査結果の経年変化をみる、②検査結果の組み合わせで判断する、③検査結果の変化の理由を考えることが重要である。

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© 2020 一般社団法人 日本総合健診医学会
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