2021 年 48 巻 3 号 p. 319-324
健康診断、人間ドック等々で行われるスクリーニングで初めて見いだされる泌尿器科関連の疾患は意外と多い。
尿検査では尿潜血反応、尿蛋白、尿糖が主なものである。尿蛋白陽性により腎臓病関連疾患、尿糖陽性により糖尿病など尿検査は泌尿器科のみならず全身疾患の発見にも役立っている。さらに尿沈渣で顕微鏡的血尿が認められた場合は、膀胱癌、尿路結石などの泌尿器科疾患の発見につながることも少なくない。
血液検査ではクレアチニンなどの腎機能、PSA等が挙げられる。PSAは前立腺癌の腫瘍マーカーで前立腺癌の早期発見に大きく役立った。最近、米国でPSA検診がやや下火になりその結果、転移症例が増加しているという報告があったことは注目すべきである。
超音波検査では腎腫瘤、膀胱腫瘍、前立腺肥大症などが発見される。超音波検査での腎腫瘍の偶然発見(偶発癌)はとてもよく知られたことであるが、膀胱癌も比較的多く発見されていることには注意すべきである。しかし膀胱の超音波検診では、膀胱を尿で充満する必要があり、尿検査の前に行う必要がある。他の検査との兼ね合いで、実施が難しいことも多いことも確かである。今後は下腹部も検討される施設が増えることが望まれる。