総合健診
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原著
血圧高値と肥満指標の関係:BMIと腹囲の比較
石井 広二旭 久美子吉田 礼子荒井 勝己増野 弥生齋藤 陽子勝川 史憲
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キーワード: BMI, 腹囲, 血圧
ジャーナル オープンアクセス

2022 年 49 巻 2 号 p. 308-316

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抄録

【目的】肥満による血圧高値のリスクを3つの肥満判定基準を用いて比較検討し、さらに血圧高値の判定に対してBMIと腹囲がどのように関係するかを比較検討する。

【方法】東北地方の隣接する2県の2013年職域健康診査受診者のうち、データ欠損者、降圧薬服用者と不明者、喫煙者、および臨床的にありえない値の者を除く20歳以上60歳未満の15,560名(男性:7,126名、女性:8,434名)を対象とした。男女を20-30歳代と40-50歳代の2世代に分け、3つの肥満判定基準(BMI基準、JASSO腹囲基準、WHO腹囲基準)に対して、血圧について4つのカットオフ値(収縮期血圧/拡張期血圧:≧120/80、≧130/80、≧130/85、≧140/90mmHg)を設定し、オッズ比を比較した。また、血圧カットオフ値に対するBMIと腹囲についてROC曲線のAUCをDelong検定で比較し、それぞれのカットオフ値を算出した。

【結果】すべての肥満判定基準で、男女とも20-30歳代のオッズ比(男性:3.78-6.75、女性:3.80-8.37)の方が、40-50歳代のオッズ比(男性:1.87-2.64、女性:2.41-4.15)よりも大きかった。ROC曲線のAUCによるBMIと腹囲の比較では、多くの基準で有意差がなかった(女性40-50歳代≧120/80を除く)。また多くのROC曲線において、AUC<0.7であった。

【結論】本対象集団において、BMIと腹囲では血圧高値判定能力に有意な差はないと考えられた。また、多くの基準で、AUC<0.7であるため、肥満判定指標のみによる血圧高値の予測には限界があると考えられた。

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© 2022 一般社団法人 日本総合健診医学会
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