総合健診
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原著
健診におけるH. pylori抗体ラテックス凝集法試薬の検討~カットオフ値について~
山縣 文夫中道 陽子白幡 季大馬上 典子堀之内 優子宮川 なおみ大野 恭子中河原 亜希子細井 克美八巻 悟郎
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2022 年 49 巻 5 号 p. 499-509

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抄録

【目的】胃がんリスク層別化検査における血清ヘリコバクターピロリ抗体(Hp抗体)の測定において、ELISA法、CLEIA法、LA法の3種の測定法を比較し、ABC検診におけるLA法の適正なカットオフ値を検討する。

【方法】書面で了解を得た人間ドック受診者929名を対象とし、受診時に採血した新鮮血清を用いて、ペプシノゲンⅠ/ⅡをCLEIA法とLA法で、Hp抗体をELISA法、CLEIA法、LA法で測定し、井上らの提唱に従ってA・B・C・D群に層別化した。内視鏡検査による萎縮の程度は木村・竹本分類によった。

【結果】929名は、C0分類が832名、C1分類が32名、C2分類が26名、C3分類が13名、O1分類が16名、O2分類が6名、O3分類が4名であった。ELISA法(カットオフ値(CO):3U/mL)では、A群が849名、B群が59名、C群が17名、D群が4名であった。CLEIA法(CO:4.0単位/mL)では、それぞれ849名、59名、16名、5名とほぼ一致していた。LA法(富士フイルム和光純薬製)(CO:4.0単位/mL)では、それぞれ823名、83名、18名、5名となったが、LA法におけるCOを6.0単位/mLとすることで他の二法とほぼ同様の結果が得られた。対象母集団により得られるCOは変動する可能性が示唆された。

【結論】各種検診におけるスクリーニング検査では、偽陰性を少なくし、偽陽性を許容範囲に抑える必要がある。また、多数検体を精度よく測定するには、自動分析装置に適用できる必要もある。LA法ではCOを6.0単位/mLとした場合に他の二法とほぼ同様の結果が得られた。LA法は汎用自動分析装置で使用できることため、対象者数が多いABC検診に適していると考えられる。

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© 2022 一般社団法人 日本総合健診医学会
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