総合健診
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原著
事業所との連携による特定保健指導グループ支援の取り組み
田所 富美子加土井 桂子田中 忍戸田 利恵宮内 輝幸森山 紀之
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2022 年 49 巻 5 号 p. 493-498

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抄録

【目的】私共医療法人社団進興会では、特定保健指導実施率の向上を目指す事業所(情報通信業)と連携し、2019年度よりグループ支援を開始、初年度の取り組みの成果について報告と検討を行った。

【対象】2019年4月~2020年2月に実施したグループ支援(計27回)の対象者260名(積極的支援140名、動機付け支援120名、平均年齢48.5±5.0歳)。うち評価終了した男性203名について、詳細な成果の検討を行った。

【方法】対象者への参加勧奨は事業所主体で実施し、勤務時間内に参加できるものとした。初回面接をグループで、継続支援は電話・メール等の通信で行った。継続支援の進捗状況を事業所と共有し、当会と事業所の両者から利用勧奨を行うことで途中脱落防止を目指した。効果検証として①取組開始前後の参加率の比較②終了率と脱落率の検討③評価終了者203名の開始時と終了時の腹囲・体重の比較を行った。また、評価終了までの期間中に新型コロナウィルス感染拡大による緊急事態宣言が発出されたことから、その影響も分析した。

【結果】参加者260名のうち、終了者211名、みなし終了者18名、途中脱落者27名、資格喪失者4名。参加率は、取り組み開始前の約20%から約50%まで上昇。終了率は全体の8割にのぼり、脱落率は資格喪失者を含め11.9%と、当院実施の全健保での脱落率と比べ低い水準となった。腹囲・体重ともに支援前後で有意な減少が認められた(p<0.001)。緊急事態宣言発出後では、腹囲も体重も目標達成が鈍化していた。

【考察】働き盛り世代においては、健診後しばらく経ってから個人で特定保健指導を受けることが難しく、健保や事業所は実施率の低迷に苦慮している。その対策として、事業所と連携しグループ支援の機会を提供することは、実施率向上や健康経営の推進に寄与することが示唆された。また、評価終了まで確実に導くためには、対象集団の特徴に合わせた支援内容や利用勧奨方法の検討も必要と考える。

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© 2022 一般社団法人 日本総合健診医学会
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