総合健診
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症例報告
腹部超音波検査が発見の端緒となったStanford A型大動脈解離の1症例
髙丸 格内野 里枝赤堀 つぐみ森田 寛子綾部 裕子大木 早織青木 由美子鈴木 登士彦小松 淳子
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2022 年 49 巻 6 号 p. 609-614

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抄録

 今回、健康診断の腹部超音波検査時に腹部大動脈解離を認め、造影CT検査によりStanford A型大動脈解離と診断され、手術が行われた症例を経験した。Stanford A型大動脈解離の発見の端緒が健康診断の腹部超音波検査という症例は、我々が検索した限りでは見られないため報告する。

 症例は65歳女性。約1か月前に突然の強い左胸背部痛があり、近医の整形外科を受診している。

 今回、当院の健康管理センターを初めて受診し、その際の腹部超音波検査で、腹部大動脈内に解離像を認め、真腔および偽腔内にカラードプラにて血流を認めた。Stanford A型大動脈解離を考慮し、造影CT検査を施行した。

 造影CT検査では、解離は上行大動脈基部から両側総腸骨動脈にかけて認められる、Stanford A型大動脈解離であった。腹部超音波検査による発見の端緒から約2時間後に説明を行い、本人に強い胸背部痛がなく、臓器灌流障害を疑わせる症状など緊急手術が必要な状態ではないため、亜急性Stanford A型大動脈解離として、1週間後に手術を行った。

 今回、広範囲のStanford A型解離があったが、心タンポナーデや心臓、脳、腹部臓器の分枝灌流障害を発症しなかった稀な症例と考えられる。腹部超音波検査で解離を認めた場合、受診者の予後を左右するため、健康診断の現場においても迅速な対応が必要である。

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© 2022 一般社団法人 日本総合健診医学会
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