総合健診
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総合健診の過去と未来
健診データから見える将来
山上 孝司
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2023 年 50 巻 2 号 p. 255-259

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抄録

 受診者統計Aの集計結果を、2014年度のものと2020年度のものを比較したところ、肝機能、糖代謝、脂質代謝、尿酸の各項目の要精密検査・要治療の割合が上昇していた。上昇していた年代は、肝機能と糖代謝が男女の全年代、脂質代謝が男女の30代、40代、尿酸が男性の30代であった。生活習慣病のリスクを持っている人が、若い年代を中心に徐々に増加していると考えられ、適切な保健指導と疾病の早期発見が一層重要になると思われる。

 受診者統計Bの集計結果を、2014年度のものと2020年度のものを比較したところ、20歳から体重が10kg以上増加した割合と、朝食を抜くことが週に3回以上あると答えた割合が、男女の全年代で上昇していた。望ましい食事の摂り方や身体活動量を増やす保健指導がこれまで以上に必要と思われる。

 受診者統計Aにおける総合健診受診者の年齢構成を見ると、男女ともに30代以下の割合が8~10ポイント低下し、50代の割合が6~8ポイント上昇していた。停年の延長が予想される今日において、50代はまだまだ働き続けなければならず、生活習慣病ですでに治療している人に対しては重症化予防の取り組みが、生活習慣病のリスクをすでに持っている人に対しては疾病の早期発見が一層重要になってきている。また生活習慣病のリスクを持つ若い世代が増加しているので、疾病の早期発見だけでなく、適切な食事や運動の指導による疾病の予防を図らなければならないと思われる。

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© 2023 一般社団法人 日本総合健診医学会
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