【目的】脳心血管病予防に関する包括的リスク管理チャートは、関係学会のガイドラインや治療方針も考慮したうえで、非専門医が日常診療において使いやすいように構成されており画期的であった。しかし、このチャートを健診の場で活用するにあたり、実際の受診者のリスク分布は、把握されていなかった。本研究では、健診後の適切な保健指導の計画立案ができるように、疾患罹患率やリスクカテゴリ分布を明らかにすることを目的とした。
【対象】2015年1月から12月までに、聖路加国際病院予防医療センターの一日人間ドックを受診したのべ38,321人(男性18,019人、女性20,302人)を対象とした。
【方法】包括的管理チャートのアルゴリズムに沿って、全6 Step中、治療開始前までのスクリーニングの1(a:基本項目、b:追加項目、c:専門医への紹介必要性の判断)と2(各リスク因子の診断と追加評価項目)に注目して分析を行った。
【結果】Step 1c(要紹介)の該当者は、非治療者より、現在治療中者が多く、特に糖尿病が多かった。Step 2のリスク保有率が高い疾患は、糖尿病(男性:52.7%、女性:41.8%)・脂質異常症(男性:34.3%、女性:22.5%)であった。Step 2のリスク因子保有者率は、男性:約60%、女性:約50%であった。
【考察】健診実施者は、リスク因子の保有状況を念頭に保健指導をするとともに、各疾患で加療中の受診者についても主治医と積極的に連携していく必要性が示唆された。
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