2024 年 51 巻 6 号 p. 531-538
2023年NAFLD(non-alcoholic fatty liver disease)はMASLD(metabolic dysfunction associated steatotic liver disease)に名称が変更され、代謝異常の重要性や中等度飲酒者に対する分類がなされた。このMASLDの予後は肝関連イベントだけでなく、脳心血管イベント、肝臓がん以外の他臓器がんが知られており、肝関連イベントは肝臓の線維化進展例から脳心血管イベント、肝臓がん以外の他臓器がんはMASLD全体からリスクがあることがわかってきた。
MASLDの肝線維化進展には糖尿病やPatatin-like phospholipase domain-containing 3(PNPLA3)リスクアレルが関連しており、さらにはこの線維化を肝生検以外の非侵襲的診断法で診断する方法が多く検討されている。また、MASLDの治療の基本は食事運動療法であり、保険適応となった薬剤はない。しかしながら、現在も多くの臨床治験が行われており、今後新薬の開発に期待される。