2024 年 51 巻 6 号 p. 539-542
がんは、定期的ながん検診の受診による早期発見・早期治療により、リスク低減が可能であるが、諸外国と比較して日本におけるがん検診受診率は低く、中でも乳がん・子宮頸がん検診は40%前後にとどまっている。聖隷予防検診センターが所在する浜松市も例外でなく、健診機関として女性スタッフを中心に啓発活動を行っていたものの、特にAYA世代を中心とした受診率が伸び悩んでいた。
そのような状況を踏まえ、スタッフとともに、どのような手法であれば行動変容を起こすことが出来るのか検討した結果、そもそも「忙しい中でもなぜ検診を受ける必要があるのか」や「なぜ検診によるがんの早期発見が重要なのか」を自分事として認識してもらう必要があり、その点を同世代から共感を呼ぶような分かりやすい言葉で伝えることで課題解決につながるのではないかという仮説を立てた。
そこで2019年8月に近隣に所在する聖隷クリストファー大学看護学部の先生に、学生を中心とした婦人科検診啓発プロジェクト設立を打診したところ快諾を頂き、同年10月より「楽しい!婦人科検診啓発活動」をコンセプトとした学生主体型のがん検診啓発プロジェクト「SGE♡プロジェクト※」を発足させた。
活動においてコロナ禍による影響もうけたものの、学生のアイデアを積極的に取り入れながら行政や企業を巻き込んだ産学官連携による様々な啓発活動を実施、その活動は地元メディアや医療経営雑誌等に取り上げられるとともに、2023年3月には浜松市から「浜松ウエルネスアワード市民健幸部門」の受賞を受けるなど、さまざまな分野から共感や反響を頂いている。
今回、本プロジェクトの設立の経緯や健診機関側から見た活動の成果とともに、プロジェクトメンバーの学生から学生の視点からとらえたプロジェクト参画に対する思いや成果、受診率向上に向けて見えてきた課題やプロジェクトの今後の展望などについて報告する。
※SGE♡プロジェクト
S:SEIREI(聖隷) G:GYNECOLOGY(婦人科) E:ENLIGHTENMENT (啓発)に♡(愛)を持って活動する