総合健診
Online ISSN : 1884-4103
Print ISSN : 1347-0086
ISSN-L : 1347-0086
第52回大会
日本総合健診医学会 第52回大会・シンポジウム4やさしい健診施設の新たな取り組み アイドック~マルチモーダルイメージングによる先制医療~
岡野内 俊雄
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2024 年 51 巻 6 号 p. 543-549

詳細
抄録

 視覚障害の原因疾患上位に緑内障、糖尿病網膜症、加齢黄斑変性が並ぶ現在、健診の眼科的意義は、緑内障の早期発見と黄斑疾患など眼底疾患の検出にある。しかし、通常健診でのカラー眼底写真と眼圧測定による発見には限界がある。視神経乳頭や黄斑網膜の変化を鋭敏に検出できる光干渉断層計(OCT)の進歩は目覚ましく、現在では非常に早期の緑内障をも検出可能である。また、加齢黄斑変性や黄斑前膜の早期は、通常の眼底写真では判別しにくいため進行するまで放置されることも多い。そうなると、治療後の視機能回復は不良になる。現在は、これらの疾患もOCTや光干渉断層血管撮影(OCTA)などの検査で比較的容易に検出できる。また、通常の眼底写真の範囲に病変が見られず見落とされる疾患もある。これは、超広角眼底カメラで周辺の病変を拾うことができる。さらに、広角OCTAで糖尿病網膜症の毛細血管閉塞や網膜新生血管も検出できる。このように、健診の眼科検査と進歩した眼科光学検査機器を用いた眼科診療の疾患検出能力には大きな差がある。そのため、倉敷成人病健診センターは、倉敷成人病センターアイセンター外来の施設で、精度の高い検査機器を用いた検査と眼科医の細隙灯顕微鏡による診察とをおこなうアイドックを2022年9月から始めた。これまでの短期実績を含めて紹介する。

著者関連情報
© 2024 一般社団法人 日本総合健診医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top