総合健診
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第53回大会
日本総合健診医学会 第53回大会・シンポジウム3 脂肪性肝疾患と代謝異常 -最新知見と病態、管理・指導 糖尿病患者における脂肪肝スクリーニングの実態とSGLT2阻害剤治療の効果予測因子
倉橋 知英法水 淳平松 直樹
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ジャーナル オープンアクセス

2025 年 52 巻 6 号 p. 802-806

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抄録

【目的】糖尿病患者における脂肪肝スクリーニングの実態と、SGLT2阻害剤治療の効果予測因子を検討することを目的とした。

【方法】検討1:2014年以降、当院で6か月以上SGLT2阻害剤投与を受けたSLD患者916例を対象に、投与前後の肝画像検査実施率を検討した。検討2:2014年以降、当院で1年以上SGLT2阻害剤投与を受けた糖尿病合併SLD患者263例を対象に、投与前後の血小板数、肝胆道系酵素、肝予備能、肝線維化マーカー等の経時的変化を比較検討した。

【結果】検討1:肝画像検査実施率は69.4%、MASLD合併率は57.7%であった。検討2:ALT、ALP、γGT、ALBI scoreが有意に減少し、FIB-4 indexは改善を認めなかった。MASLD/MetALDで層別化して検討した結果、MASLD群ではALT、ALP、γGT、ALBI score、FIB-4 indexが改善したが、MetALD群ではγGTとFIB-4 indexが悪化した。肝線維化非改善と考えられる、1年後の高FIB-4 indexに関連する因子を検討した結果、治療前のFIB-4 index高値とアルコール摂取量が多いことが抽出された。

【考察・結語】糖尿病患者における肝疾患スクリーニングの重要性が再認識され、特にMASLD患者に対する適切な治療と予後予測因子の評価が求められることが示唆された。

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