総合健診
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第53回大会
日本総合健診医学会 第53回大会・シンポジウム4 総合健診における心電図検査の可能性 ~現在から未来へ~ 総合健診における12誘導心電図の限界─心電図自動診断のピットフォール─
八島 正明
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ジャーナル オープンアクセス

2025 年 52 巻 6 号 p. 807-814

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抄録

 標準的な12誘導心電図検査は、総合健康診断における主要な検査の一つである。その結果を判定するにあたり、自動心電図診断は重要な参考指標となる。先人による長年の研究とコンピュータ技術の進歩により、自動診断は高い精度と信頼性を達成している。しかしながら、一部の疾患では心電図異常が現れないため、全ての病態を診断できるわけではない。ミネソタコードは心電図診断と所見解釈に有用な優れた分類体系である。しかし、多様な解釈が可能な所見をどう判定するかという課題が残る。厳格な判定は過剰診断を減らす一方、見逃し診断を増加させる。基準を広く取った判定は見逃し診断を減らす反面、過剰診断の非難を招く恐れがある。さらに、現行の診断プログラム技術を用いても、自動診断実施時には完全には解決できない落とし穴が存在する。目視でペースメーカースパイクが明確に識別できる場合でも、自動診断では認識できないことがある。さらに、結果判定には自動診断結果を基にして総合的に判断を行う必要があるが、判定基準は標準化されておらず、心電図所見以外の情報も考慮する必要がある。自動心電図診断のこうした限界を認識した上で、総合健診に活用する姿勢が重要である。

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