総合健診
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人間ドック受診者における慢性閉塞性肺疾患の有病率と喫煙習慣に関する検討
竹村 英和飛田 渉佐々木 司三浦 信彦千 哲三
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2003 年 30 巻 2 号 p. 217-221

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抄録

本研究は, 人間ドック受診者における慢性閉塞性肺疾患 (chronic obstructive pulmonary disease: COPD) の有病率と喫煙習慣について検討し, 有病者の実態を明らかにすることを目的とした。対象は, 仙台市にあるエスエスサーティ健康管理センターにおいて, 2001年1月~12月に人間ドックを受診した6, 967名 (男性4, 722名, 女性2, 245名; 平均年齢46.9±8.0歳; 年齢分布30~73歳; 喫煙率38.8%) とした。解析は, COPDの診断基準を1秒率 (1秒量/肺活量×100) ≦70%として, 年齢階級別および喫煙習慣別 (非喫煙者, 元喫煙者, 現喫煙者) に実施した。
全対象者におけるCOPDの有病率は3.8%を示した。喫煙習慣別の有病率は, 非喫煙者, 元喫煙者, 現喫煙者のいずれも50歳代以降に増加した。特に現喫煙者の有病率の増加が著明であった。各年齢階級内における喫煙習慣別の有病率については, 30歳代, 40歳代において有意差が認められなかった。しかし, 50歳代および60歳以上の有病率は, 非喫煙者, 元喫煙者, ブリンクマン指数 (BI) <400の現喫煙者, BI≧400の現喫煙者の順に高くなる傾向が認められ, 特にBI≧400の現喫煙者の有病率は, 非喫煙者, 元喫煙者に比べ有意に高値であった。
これらのことから, COPDの有病率は喫煙習慣にかかわりなく50歳代以降に増加することが明らかとなった。また, 50歳代以降の有病率は, 喫煙習慣を持ちBIが大きいほど高いことが示唆された。しかし一方で, 非喫煙者においても有病率の増加が認められ, さらにCOPD発症の最大危険因子と考えられる喫煙習慣の保有率が, 若年層ほど高値であった。したがって, COPDを確実かつ早期にスクリーニングするためには, 人間ドックを含めたすべての健診においてスパイロメトリーを実施する必要があると考えられた。

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