総合健診
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健診の眼底写真による正常眼圧緑内障の検出
板山 由美子佐藤 泰子武井 千春岡野 裕遠藤 成美山澤 〓宏
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2003 年 30 巻 3 号 p. 346-350

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抄録
我々は5年間, 当センターの受診者における正常眼圧緑内障 (NTG) の実態調査を行ってきた。前回発表の際に, 「眼科医以外でも検出が可能か?」と, 座長より質問があった。そこで, 眼底写真と視野検査結果の対比を行い, 検出の可能性をまとめた。
平成8年11月1日より12年10月31日までに当センターを受診し, 当院眼科にて精査を受け, NTGと診断された93名より検索した受診者の眼底と視野を対象とした。
健診では, 無散瞳カメラを使用したポジフィルムにて, またはデジタル記録再生方式を使用したMOディスクにて両眼の眼底写真を撮影後, 眼科医により以下の4項目について判定を行った。1) 視神経乳頭縁での血管屈曲, 2) 乳頭辺縁消失, 3) 網膜神経線維層欠損, 4) 乳頭縁での線条出血。異常者は当院眼科外来へ精査勧告を行った。当院カルテ室にて精査者の視野検査の結果について追跡調査を行い, 健診時のNTG検出の可能性を確認した。
近視の視神経乳頭は, 近視特有の変化による血管走行をあらかじめ知る必要がある。網膜神経線維層欠損はさかのぼって追跡すると, 線条出血があった。網膜神経線維層欠損の範囲の狭いものやまばらなものは, 視野に異常が見られなかった。明かな網膜神経線維層欠損は, NTGの初期段階と考えられ鼻側階段の視野欠損が得られた。視神経乳頭縁での血管屈曲, 乳頭辺縁消失が認められると, マリオット盲点に連なる弓状欠損が得られた。
眼底写真の上記4項目の読影所見の有無により, 眼科医以外でも眼底写真によるNTGの検出予測は可能であると思われた。
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