総合健診
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頸動脈エコー所見と人間ドックにおける他の検査所見との比較―動脈硬化危険因子を中心に―
阿保 由起渡部 裕美三浦 和浩小山 みさ子中村 郁夫
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2003 年 30 巻 5 号 p. 512-515

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抄録
近年健診でも利用されることが多くなった頸動脈エコー検査と人間ドックで行われる血液検査データ, 眼底検査, 安静時心電図検査を比較検討した。
方法: 対象は2000年4月から2003年2月まで当施設の人間ドックを受診した30~70歳の男性80名で, 薬物治療中のものは除外した。頸動脈エコー検査はプラークを含まない総頸動脈遠位壁の内中膜複合体厚を測定し, 左右で厚いほうをmax IMTとした。またプラークの有無を評価した。このmax IMT, プラークと年齢, BMI, 血圧, 喫煙習慣, 血液検査データの関係を調べ, さらに眼底検査, 心電図検査所見と頸動脈エコー所見を比較した。
結果: Max IMTを目的変数, 年齢, BMI, 血圧, 総コレステロール, 中性脂肪, HDLコレステロール, LDLコレステロール, 尿酸, 空腹時血糖, HbAlcを説明変数としてmultiple regression analysisを行った結果, 年齢とHbAlcがmax IMTと関連を認めた。プラークの有無では年齢, 収縮期血圧, 拡張期血圧, LDLコレステロールに関連を認めた。眼底所見, 心電図所見と頸動脈エコー所見の比較では統計学的に相関は認められなかった。
結語: 頸動脈エコー検査にて測定されたmax IMTとプラークは動脈硬化危険因子と関連があることが確認された。特にプラークはmax IMTより多くの危険因子と関連したが, これはmax IMTの測定が動脈硬化性変化の影響がより少ないプラークを含まない部分で行われたためであろうと考えられた。複数の検査を組み合わせることでより総合的な動脈硬化を評価することが重要であることを強調したい。
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