総合健診
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30 巻, 5 号
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  • 小林 毅, 横井 秀嗣, 中村 節子, 川代 昭子, 村田 昌宏, 葛西 文彦, 鵜川 純男, 寺倉 邦博, 石川 ちず, 藤本 琴音, 村 ...
    2003 年 30 巻 5 号 p. 497-502
    発行日: 2003/09/10
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    1999年以来, HDL-コレステロール測定が健診の場でも義務付けられたが, 低HDL-C値の管理基準やその指導根拠とすべき疫学的研究成果はいまだ乏しい。今回は, 中高年層の低HDL-C血症出現頻度と, 死の四重奏で代表される生活習慣病への低HDL-C合併頻度の検討を目的とした。【対象と方法】2001年4月~2002年3月の1年間に当センターの外来受診者13, 936名 (男性9, 527名, 女性4, 061名) を対象とした。【検討I】低HDL-C血症の男女別, 年齢層別の出現頻度を検討した。これらを中年層, 中高年層, 高齢層のABC3群に分け, 解析した。低HDL-Cは<40mg/dlとした。【検討II】低HDL-C血症出現群 (1, 951名) について生活習慣病 (肥満, 高血圧, 高脂血症, 糖尿病) それぞれの合併出現率を同様に対比検討した。【結果I】低HDL-C血症は, 女性に比して男性に有意に高頻度に出現した。中年以降の男性では, ABC 3群でそれぞれ19.6%, 17.8%, 13.7%, 女性では3.9%, 4.4%, 3.7%であった。【結果II】低HDL-C群での検討, (1) 肥満; 低HDL-C群では男女とも3群それぞれで肥満を高頻度に合併した。 (2) 高血圧; 中高年齢層男性に多く認めたが, 低HDL-C血症との関連は有意ではなかった。 (3) 高脂血症 (高TG+高Ch) ; ABC3群で男性に高頻度に出現した。低HDL-C群では男女とも同性被検者に比して有意に高頻度に合併した。高TG血症は低HDL-C群では男女とも高頻度に合併して出現し, 高TGと低HDL-Cの両者間には高い相関があった。 (4) 糖尿病; 低HD-C群では3群の男女ともに有意な高頻度の合併が認められた。【結語】低HDL-C血症は中高年男性の肥満を伴って多く見られ, 高脂血症, 糖尿病を高頻度に合併した。また, 逆にこれらの4病態像から見た低HDL-C血症の検討でも, その合併頻度の高いことが示された。中高年者の循環器病対策として低HDL-C血症の合併を視野に入れた指導管理が必要である。
  • 清水 孝郎, 市吉 佳代子, 田野 明美, 増田 れい子, 金田 恵美子, 餅 三喜雄, 吉川 博通
    2003 年 30 巻 5 号 p. 503-507
    発行日: 2003/09/10
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    住友病院は平成12年9月に新病院に移転し, 健診業務を拡張して健康管理センターを開設した。健康管理センターの人間ドックでは大人数の受診者を混乱なく誘導し, 短時間で終了させる必要がある。新たな誘導・検査・診察システムを評価するため, 受診者満足度を調査した (1期: 平成13年10月~14年2月, 2期平成14年11~12月) 。健診終了時にアンケート用紙を配布し, 受付に設置した箱に回収した。健診回数, 紹介元, 予約者, 年齢, 性別, 各部門の応対 (予約受付, 受診・会計受付, 採血, 身体計測, 放射線科, 心電図検査, 腹部超音波検査, 内科, 外科, 婦人科, 面談, 宿泊ドックでは耳鼻科, 眼科, 泌尿器科も) , 検査に対する不安, 待ち時間, 次回利用希望を調査した。日帰り健診者数は1期15.5名/日, 2期26.1名/日であった。応対の「とても良い」は2期では1期に比べて減少した (平均12%減) が, 「良い」「とても良い」の和は全部門において87-99%と不変であった。次回も当院を「是非利用」は1期の61%から2期の55%に減少し, 「機会があれば利用」は38%から45%に増加した。待ち時間の短い~適当は, 78%から67%に減少した。次回受診希望は1期では紹介元, 検査不安以外の全項目と, 2期では紹介元, 眼科, 耳鼻科, 泌尿器科, 検査不安以外の全項目と関連していた。受診者要因では両期とも男性, 高年齢, 継続受診者, 自分で予約した人に次回利用希望が多かった。多変量検定では, 1期は健診回数, 自分で予約, 面談, 待ち時間と, 2期は健診回数, 外科診察 (特に女性) , 待ち時間と関連していた。以上をまとめると, 2期では受診者数が1.7倍に増加したが, 「良い」以上の応対評価は変わらなかった。しかし「とても良い」評価が減少し, 次回是非利用も減少した。次回是非利用は主に健診回数, 待ち時間と関連し, 女性では外科診察の応対が強い影響を与えた。
  • 栗栖 敦子, 佐々木 温子, 福元 耕, 常喜 真理, 吉澤 祥子, 中崎 薫, 和田 高士
    2003 年 30 巻 5 号 p. 508-511
    発行日: 2003/09/10
    公開日: 2010/12/09
    ジャーナル フリー
    〔目的〕45歳未満の男性で急性心筋梗塞を発症した患者の危険因子について同年齢の健常者と比較することによりその特徴について検討した。
    〔対象と方法〕当大学附属病院および関連病院において心筋梗塞と診断された45歳未満の男性44名 (平均年齢40.5歳) を梗塞群, 当センター総合健診を受診した同年齢の健常男性88名 (平均年齢40.3歳) を健常群とし, body mass index (BMI) , 20歳時BMI, 血圧, 血中脂質, 糖代謝, 尿酸, および喫煙状況について両群を比較検討した。喫煙状況については両群ともアンケート調査により情報を得た。
    〔結果〕梗塞群が健常群に比し有意に高値を示した検査項目はBMI, 20歳時BMI, 血中中性脂肪 (TG) , 血中総コレステロール (TC) , 空腹時血糖 (FPG) , ヘモグロビンA1c (HbA1c) , であった。また有意に低値を示したのはHDLコレステロール (HDL-C) であった。BMI (梗塞群, 健常群: 26.1±0.6, 22.7±0.3kg/m2) , 20歳時BMI (22.7±0.5, 20.6±0.3kg/m2) , TG (160.5±13.7, 107.8±6.Omg/dl) , TC (224.9±11.9, 202.4±3.1mg/dl) , FPG (129.5+16.3, 94.1±1.0mg/dl) , HbA1c (6.2±0.4, 5.1+0.04%) , HDL-C (44.4±3.8, 53.4±1.4mg/dl) 。血圧, 尿酸には有意差を認めなかった。20歳時からのBMI増加も梗塞群が有意に高値であった (3.5±0.4, 2.0±0.2kg/m2) 。また梗塞群で有意に喫煙率が高く, 喫煙本数も有意に多かった。喫煙率 (77, 59%) , 喫煙本数 (37.0±2.5, 20.3±1.4本) 。なお梗塞群の冠動脈造影検査では, 1枝病変の発症頻度が最も多かった (69%) 。
    〔結語〕45歳未満発症の男性心筋梗塞の危険因子としてBMI, 特に20歳時からのBMI増加, 脂質, 糖代謝, 喫煙の関与が強く, 血圧の関与はなかった。
  • 阿保 由起, 渡部 裕美, 三浦 和浩, 小山 みさ子, 中村 郁夫
    2003 年 30 巻 5 号 p. 512-515
    発行日: 2003/09/10
    公開日: 2010/12/09
    ジャーナル フリー
    近年健診でも利用されることが多くなった頸動脈エコー検査と人間ドックで行われる血液検査データ, 眼底検査, 安静時心電図検査を比較検討した。
    方法: 対象は2000年4月から2003年2月まで当施設の人間ドックを受診した30~70歳の男性80名で, 薬物治療中のものは除外した。頸動脈エコー検査はプラークを含まない総頸動脈遠位壁の内中膜複合体厚を測定し, 左右で厚いほうをmax IMTとした。またプラークの有無を評価した。このmax IMT, プラークと年齢, BMI, 血圧, 喫煙習慣, 血液検査データの関係を調べ, さらに眼底検査, 心電図検査所見と頸動脈エコー所見を比較した。
    結果: Max IMTを目的変数, 年齢, BMI, 血圧, 総コレステロール, 中性脂肪, HDLコレステロール, LDLコレステロール, 尿酸, 空腹時血糖, HbAlcを説明変数としてmultiple regression analysisを行った結果, 年齢とHbAlcがmax IMTと関連を認めた。プラークの有無では年齢, 収縮期血圧, 拡張期血圧, LDLコレステロールに関連を認めた。眼底所見, 心電図所見と頸動脈エコー所見の比較では統計学的に相関は認められなかった。
    結語: 頸動脈エコー検査にて測定されたmax IMTとプラークは動脈硬化危険因子と関連があることが確認された。特にプラークはmax IMTより多くの危険因子と関連したが, これはmax IMTの測定が動脈硬化性変化の影響がより少ないプラークを含まない部分で行われたためであろうと考えられた。複数の検査を組み合わせることでより総合的な動脈硬化を評価することが重要であることを強調したい。
  • 北尾 武
    2003 年 30 巻 5 号 p. 516-518
    発行日: 2003/09/10
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    NTT-IT社が作成したon-lineメンタルヘルス問診票を使い, NTT北陸地区職員を対象としたメンタルステートの評価を行い, かつ定期検診および人間ドック受診時に全員を対象として直接個人面接を行い精神的な状況を把握した。On-line問診票の感度および特異度は高く, かつ大部分の受診者は自分への問診票の回答を見て満足していた。直接面接でうつ状態やうつ病と考えられた受診者にはeメールや携帯型テレビ電話でのカウンセリングおよび心療内科クリニックへの受診を勧め期間中に8名が治療を受けた。
  • 船津 和夫, 山下 毅, 本間 優, 大川 登, 斗米 馨, 横山 雅子, 近藤 修二, 濱名 元一, 中村 治雄
    2003 年 30 巻 5 号 p. 519-525
    発行日: 2003/09/10
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    生活水準が比較的均一な30~60歳の男性2, 719名を対象として, 1992年度における肥満度を基に, やせ群, 標準群, 肥満群の3群に分け, 7年間の血清脂質, 血糖値の変化を統計学的に比較検討した。さらに, 対象者の各群を体重非増加者と増加者に分け, 同様の検討を行った。肥満度は各群で7年間に増加し, 増加の程度はやせ群で最も大きかった。総コレステロール (TC) , LDL-C, 中性脂肪の増加の程度もやせ群で最も大きかった。これに対し, HDL-C, 血糖は肥満群での増加が他群より有意に大きかった。体重非増加者と増加者の検討では, 血清脂質は前者が後者に比べ, 増加の程度は低かったが, 血糖とHbAlcについては両者間の増加の程度に有意差はみられなかった。加齢のみによる変化を示すと考えられる体重非増加者での検討では, 7年間にLDL-Cはわずかに低下しているのに対し, HDL-Cは増加し, 中性脂肪はほとんど不変もしくは若干減少していることから, 肥満の有無に関わらず, 加齢とともに血清脂質値は改善することが判明した。また, この血清脂質の改善効果はやせた人より, 肥満者でより大きかった。一方, 血糖とHbAlcは体重の増加, 非増加に関わらず, 7年間に同程度に増加し, やせた人より, 肥満者での増加が大きかつた。体重非増加者と増加者内各群の飲酒, 喫煙, 運動量に差がないことから, これらの血清脂質, 血糖値の変動の主因として加齢と体重増加が考えられた。
    以上の結果から, 中年男性における非肥満者と肥満者では, 肥満度, 血清脂質, 血糖の推移が異なり, 非肥満者では肥満度, 血清脂質, 肥満者では血糖の推移により気を配る必要性が示された。また, 加齢のみの影響として, 血清脂質は改善方向に, 血糖は肥満度に応じて増悪方向に推移するが, 加齢に体重増加が加わると, 血清脂質までも増悪することから, 中年男性にとって体重コントロールが重要であることが示唆された。
  • ―頚動脈超音波検査の有用性―
    望月 茂, 松岡 謙二, 宮永 實, 冨田 照見, 中川 善雄, 三崎 文夫, 小林 正夫, 井上 頴樹, 山本 泰司, 寅貝 良子, 宮川 ...
    2003 年 30 巻 5 号 p. 526-529
    発行日: 2003/09/10
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    今回私たちは健診において頚動脈超音波検査 (頚動脈エコー) を用いて, 頚動脈の動脈硬化と, 胸部ヘリカルCT上の大動脈石灰化, 冠動脈石灰化との関連, 頭部MRI上の虚血性脳病変との関連, および動脈硬化の各危険因子との関連を検討したので報告する。
    対象は2000年4月1日~2001年3月31日に当ドックを受診し, 頚動脈超音波検査, 胸部ヘリカルCT検査, 頭部MRI検査を受けた男性487人, 女性232人, 合計719人 (平均年齢58.6±9.9歳) である。
    頚動脈硬化の有無と大動脈石灰化の頻度との関連, 冠動脈石灰化の頻度との関連では, 頚動脈硬化は大動脈石灰化, 冠動脈石灰化と有意に相関した。動脈の石灰化は動脈硬化に伴って認められることが知られている。
    頚動脈硬化の有無と虚血性脳病変の頻度との関連では, 頚動脈硬化は虚血性脳病変と有意に相関した。
    以上より, 頚動脈の動脈硬化を検索することは, 大動脈, 冠動脈や脳動脈の動脈硬化を推測するのに有用と考えられた。
    次に, 動脈硬化の各危険因子の有無と頚動脈硬化の頻度との関連を検討した。
    動脈硬化の危険因子のうち, 男性, 喫煙, 高血圧, 糖代謝異常, 高尿酸血症それぞれありの群では, なしの群に比較して, 頚動脈硬化の頻度が有意に高かった。
  • 宮脇 尚志, 宮山 真弓, 松崎 千鶴子, 阿部 恵, 八幡 兼成, 勝間 寛和, 梶山 登, 齋藤 信雄, 舛谷 仁丸
    2003 年 30 巻 5 号 p. 530-534
    発行日: 2003/09/10
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    睡眠時無呼吸症候群 (SAS) は, 覚醒時の眠気によるQOLの低下のみならず生活習慣病との関連も注目されている。そこで今回我々は, 入院ドックにおいて携帯型パルスオキシメーターを用いたSASのスクリーニング導入を試みた。
    当院の入院ドックにて問診票によってSASを疑わせる他覚症状があるとされた男性94名に対して, 就寝時に携帯型パルスオキシメーターを指に装着し, 酸素飽和度および脈拍の終夜連続記録を行った。この記録から睡眠呼吸障害の指標である酸素飽和度低下指数 (ODI) や脈拍等を算出し, ODI3%または4%が15以上をSASの疑いありと判定した。また, 睡眠障害の自覚症状の有無や覚醒時の眠気の評価, ライフスタイルおよびドックで測定した生活習慣病のパラメーターとSASとの関係を検討した。
    SASが疑われた者は21名 (22.3%) であった。SAS関連の症状, 肥満や生活習慣のうち, SAS疑い群がそうでない群に比べ有意に高値であった項目は, 肥満と睡眠時の自覚症状であった。SAS疑い群の中で睡眠, 覚醒時ともに自覚症状の全くない者は6名であった。ロジスティック回帰分析によりSASの有無と正の関連が有意に認められた項目は, 年齢, BMI, 毎日の飲酒, 喫煙, 睡眠時の自覚症状であった。また, 生活習慣病パラメーターの中でSAS疑い群がそうでない群に比べ有意に高値を示した項目は空腹時血糖値およびHbAlcであった。血中の中性脂肪, OGTT120分の血糖値はSAS疑い群がそうでない群に比べ高い傾向を示した。ODI3%が50以上であった3名すべてに高血圧を認めた。
    携帯型パルスオキシメーターを用いたSASのスクリーニングは簡便にできることから入院ドックの検査項目として適していると考えられた。いびきや無呼吸を指摘されている者, 問診などでSASが疑われるライフスタイルを有する者, 肥満やSAS関連の生活習慣病を有する者に対しては本人の自覚症状がなくても積極的にこの検査を行う必要があると考えられた。
  • ―臨床検査精度管理調査について―
    巽 典之, 田村 政紀
    2003 年 30 巻 5 号 p. 535-540
    発行日: 2003/09/10
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
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