総合健診
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45歳未満発症の男性心筋梗塞患者における危険因子
栗栖 敦子佐々木 温子福元 耕常喜 真理吉澤 祥子中崎 薫和田 高士
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キーワード: 心筋梗塞, 若年, 危険因子, 肥満
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2003 年 30 巻 5 号 p. 508-511

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抄録
〔目的〕45歳未満の男性で急性心筋梗塞を発症した患者の危険因子について同年齢の健常者と比較することによりその特徴について検討した。
〔対象と方法〕当大学附属病院および関連病院において心筋梗塞と診断された45歳未満の男性44名 (平均年齢40.5歳) を梗塞群, 当センター総合健診を受診した同年齢の健常男性88名 (平均年齢40.3歳) を健常群とし, body mass index (BMI) , 20歳時BMI, 血圧, 血中脂質, 糖代謝, 尿酸, および喫煙状況について両群を比較検討した。喫煙状況については両群ともアンケート調査により情報を得た。
〔結果〕梗塞群が健常群に比し有意に高値を示した検査項目はBMI, 20歳時BMI, 血中中性脂肪 (TG) , 血中総コレステロール (TC) , 空腹時血糖 (FPG) , ヘモグロビンA1c (HbA1c) , であった。また有意に低値を示したのはHDLコレステロール (HDL-C) であった。BMI (梗塞群, 健常群: 26.1±0.6, 22.7±0.3kg/m2) , 20歳時BMI (22.7±0.5, 20.6±0.3kg/m2) , TG (160.5±13.7, 107.8±6.Omg/dl) , TC (224.9±11.9, 202.4±3.1mg/dl) , FPG (129.5+16.3, 94.1±1.0mg/dl) , HbA1c (6.2±0.4, 5.1+0.04%) , HDL-C (44.4±3.8, 53.4±1.4mg/dl) 。血圧, 尿酸には有意差を認めなかった。20歳時からのBMI増加も梗塞群が有意に高値であった (3.5±0.4, 2.0±0.2kg/m2) 。また梗塞群で有意に喫煙率が高く, 喫煙本数も有意に多かった。喫煙率 (77, 59%) , 喫煙本数 (37.0±2.5, 20.3±1.4本) 。なお梗塞群の冠動脈造影検査では, 1枝病変の発症頻度が最も多かった (69%) 。
〔結語〕45歳未満発症の男性心筋梗塞の危険因子としてBMI, 特に20歳時からのBMI増加, 脂質, 糖代謝, 喫煙の関与が強く, 血圧の関与はなかった。
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© 日本総合健診医学会
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