総合健診
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健常高齢者の総合評価における形態, 機能, 血液諸指標の基準値, および, 性差に関する検討
道場 信孝島田 真澄斉藤 幸子那須 美智子倉辻 明子元田 泉佐藤 淳子甲斐 なるみ宮崎 倫子久代 登志男日野原 重明
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2004 年 31 巻 5 号 p. 609-616

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抄録

背景: 高齢化社会における高齢者の社会的役割はsuccessful agingに代表される方向へ変わりつつあり, 健康評価のあり方も社会的需要に適した基準づくりが求められる。目的: 日野原らが提唱する「新老人運動」の中で, 加齢に関する疫学的研究へ自主的に参加したHRV (Health Research Vblunteer) の社会的行動, および, 疾病の特性についてはすでに報告した。本研究では, これら70歳以上のHRV (男女319例: 平均年齢77.9±4.1歳) について身体の形態と機能の評価を行い, Sackettらの提唱する「文化的健康」を把握するための基準を策定するとともに, 性差について検討した。方法: 2002年11月より2004年3月の間に, 男性153例 (平均年齢78.3±4.6) , 女性166例 (平均年齢77.5±3.6) について身体計測 (身長, 体重, BMI, 体脂肪指数, 非体脂肪係数, 四肢周長, 骨密度) , 関連する身体機能評価 (四肢筋力, 歩行速度, 安静時代謝率, 心脈管機能) , 血液検査 (血球, 生化学, 浸透圧, ホルモン, サイトカイン) を施行した。結果: 身体計測値については, 男女ともJARDのそれにほぼ近似する値を示した。性差に関して, 男性は女性より身長, 体重が大であったが, 体格指数に差はなかった。男性では非脂肪指数, 女性では脂肪指数が有意に大であった。四肢筋は量・質とも男性で優れ, 歩行速度, 安静時代謝率, 骨密度も男性で有意に高い値を示した。男性では身体計測値と関連する機能検査値に年齢による差が見られなかったが, 女性では身長, 体重, 非脂肪重量, 下腿周長, 握力, 歩行時間に年齢差が見られた。基準値は各性別ごとに20, 50, 80パーセンタイルで表示した。女性では年齢差のある項目についてのみ80歳を境に2群に分けて示した。結論: 性差に関して, 男性は骨・筋系にすぐれ, 女性では脂肪量が大であった。これらのコホートから身体計測と機能評価の基準値を求めて示した。

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