総合健診
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職域における生活習慣病の管理基準
―高尿酸血症・痛風の治療ガイドラインの場合―
中島 弘
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2004 年 31 巻 5 号 p. 637-643

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抄録

従来から痛風発作の扱いや治療, 高尿酸血症が痛風発作を伴う場合とそうでない場合の管理の方法について, 諸家の意見が述べられてきたが, 診療面での一定の規範がないことが一般診療での障壁となったきた。1996年に開催されたコンセンサス・カンファランスで, 高尿酸血症・痛風がcommon disease (ありふれた病気) であり, 痛風発作の有無にかかわらず, 他の生活習慣病と同様にマルチプルリスクを念頭において管理するための均質な治療方針の必要が確認された。発作の治療, 尿路結石症の予防や治療と管理, 長期合併症や腎機能の管理が討議された。これを契機に専門医集団の意見を尊重しながら, エビデンスを集約する作業が活性化した結果, 日本痛風・核酸代謝学会にガイドライン委員会が設置された。2002年2月に新ガイドラインが公開され, 同8月に正式出版された。全体を通して新ガイドラインが目指す目標の一つとして, 生活習慣病としての高尿酸血症の位置付けと全人的な管理がある。折りしも産業医学の場面で, メタボリックシンドロームの例が増加し, 薬物治療以前からの生活管理・保健指導の重要性が注目される。そこで, 高尿酸血症とその管理の新しい考え方と古典的に確立した理論を同時に参照できるガイドラインを職域での健康管理にどう活用すべきかをご説明したい。

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