総合健診
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効果的な保健指導のあり方
斎藤 照代
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キーワード: 保健指導, 行動科学
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2008 年 35 巻 2 号 p. 252-258

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抄録

平成20年4月から生活習慣病予防を中心とした医療制度改革が始まろうとしている。メタボリックシンドロームの概念を導入し, より保健指導にウエイトがおかれている。また, どれだけ健診や保健指導を行ったかだけではなく, その結果としてどのような指導効果があったのかが評価されることとなる。「結果につながる効果的な保健指導」のあり方こそ今, 保健指導者に求められている重要なテーマである。厚生労働省の標準的な健診・保健指導プログラムによると, 「保健指導とは, 対象者の生活を基盤とし, 対象者自らの生活習慣における課題に気づき, 健康的な行動変容の方向性を自らが導き出せるように支援すること」とされている。人が, 生活習慣を変える条件は, 意欲, 知識技術, 自信, 環境である。保健指導者は, これら5つの要素に働きかけ強化することが重要である。これらをサポートする効果的な科学的手法として「行動科学 (行動療法) 」がある。保健指導にしばしば使用される行動療法として, 1.「目標設定」, 2.「自己監視法」 (セルフモニタリング) , 3.「ステージ理論」がある。また「コーチング」もしばしば活用されているスキルである。メタボリックシンドローム改善を目指す特定保健指導は, 体重, 腹囲を減らして, 内臓脂肪を減らすことが目標となる。減量目標は, 3か月~6か月で初期体重と腹囲の約5%程度を減らし, これを長期に維持することである。対象者と話し合いながら目標は数値などに置き換えて, できるだけ具体的なものにすることがポイントである。さらに人の生活習慣は, 周りの環境からも大きな影響を受けている。したがって, 保健指導の効果を高めていくうえで, ポピュレーションアプローチも重要である。

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