総合健診
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35 巻 , 2 号
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  • 坂手 誠治, 寄本 明, 阪上 皖庸, 木村 隆
    2008 年 35 巻 2 号 p. 237-244
    発行日: 2008/03/10
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    日本人労働者の1日の身体活動量を評価するための新たな質問票による方法を開発し, その1妥当性を検討した。対象者は, 男性38名, 女性14名の労働者ならびに専門学校生で, 年齢は18~69歳であった。
    質問票による調査 (質問紙法) から算出された1日のエネルギー消費量を加速度計による調査 (CC法) および24時間行動記録調査 (AR法) から算出された1日のエネルギー消費量と, 統計的な比較検討を行った。質問紙法とCC法の比較では, 男性では25.2% (p<0.001) , 女性では12.5% (p<0.05) , いずれも質問紙法により算出された値が有意に高かった。質問紙法とAR法との比較では, 質問紙法により算出された値が男性では6.4%有意 (p<0.001) に高かったが, 女性では3.3%高かったものの, 有意な差異は認められなかった。質問紙法により算出された値はCC法により算出された値 (男性, r=0.711; 女性, 0.921) およびAR法で算出された値 (男性, r=0.893; 女性, 0.918) と, それぞれ高い相関関係が認められた。次いで, 質問紙法およびAR法から算出された労働による1日のエネルギー消費量を比較した結果, 両方法で算出された値の問には高い相関関係 (r=0.876) が認められたが, 有意な差異は認められなかった。
    以上より, 本研究で提案した新たな質問票は, 多数の労働者を対象とした身体活動量把握のための疫学調査に適応が可能と考える。
  • 吉田 勝美
    2008 年 35 巻 2 号 p. 245-251
    発行日: 2008/03/10
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    平成20年4月より, 特定健診・特定保健指導が実施される。この制度では, 医療保険者が40歳以上75歳未満の被保険者と被扶養者にメタボリックシンドロームの予防の観点で健診を行うとともに, 健診結果から階層化した保健指導を提供するものである。健診項目には, 体格測定 (腹囲を含む) , 血圧, 血液生化学, 検尿が含まれており, これらの結果を基に, 保健指導判定値と受診勧奨値が定められている。健診機関では一定の精度管理事業を受けていることが求められ, 健診結果は医療保険者に電子媒体上で一定のフォーマット形式で返却されるとともに, 受診者には情報提供を含めた健診結果表を提供する。
  • 斎藤 照代
    2008 年 35 巻 2 号 p. 252-258
    発行日: 2008/03/10
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    平成20年4月から生活習慣病予防を中心とした医療制度改革が始まろうとしている。メタボリックシンドロームの概念を導入し, より保健指導にウエイトがおかれている。また, どれだけ健診や保健指導を行ったかだけではなく, その結果としてどのような指導効果があったのかが評価されることとなる。「結果につながる効果的な保健指導」のあり方こそ今, 保健指導者に求められている重要なテーマである。厚生労働省の標準的な健診・保健指導プログラムによると, 「保健指導とは, 対象者の生活を基盤とし, 対象者自らの生活習慣における課題に気づき, 健康的な行動変容の方向性を自らが導き出せるように支援すること」とされている。人が, 生活習慣を変える条件は, 意欲, 知識技術, 自信, 環境である。保健指導者は, これら5つの要素に働きかけ強化することが重要である。これらをサポートする効果的な科学的手法として「行動科学 (行動療法) 」がある。保健指導にしばしば使用される行動療法として, 1.「目標設定」, 2.「自己監視法」 (セルフモニタリング) , 3.「ステージ理論」がある。また「コーチング」もしばしば活用されているスキルである。メタボリックシンドローム改善を目指す特定保健指導は, 体重, 腹囲を減らして, 内臓脂肪を減らすことが目標となる。減量目標は, 3か月~6か月で初期体重と腹囲の約5%程度を減らし, これを長期に維持することである。対象者と話し合いながら目標は数値などに置き換えて, できるだけ具体的なものにすることがポイントである。さらに人の生活習慣は, 周りの環境からも大きな影響を受けている。したがって, 保健指導の効果を高めていくうえで, ポピュレーションアプローチも重要である。
  • 中村 正和, 増居 志津子, 堀井 裕子, 西村 節子, 木山 昌彦, 小西 正光
    2008 年 35 巻 2 号 p. 259-267
    発行日: 2008/03/10
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    2008年度からメタボリックシンドロームに焦点を当てた特定健診・特定保健指導の制度が導入されることになった。今回の新しい健診制度は, これまでの健診・保健指導に比べて, 保健指導により重点を置き, 個別性を重視した結果を出す保健指導を目指している。この新しい健診制度の導入にあたり, 効果的な保健指導を実施するには, 1) 行動科学に基づいた指導, 2) 健診当日の働きかけの重要性, 3) ITの活用, 4) 喫煙者への禁煙の働きかけ, 5) ポピュレーションストラテジーとの連動, などがポイントとなる。特に健診当日の働きかけは重要である。健診に向けて生活習慣改善の動機が高まりやすく, 健診当日は生活習慣を見直す良い機会となる。これまで健診と保健指導は日を別にして実施されることが多かった。今後は, 受診者全員に働きかけが可能でかつ効果の出やすい健診当日から保健指導を始めることが重要であり, このことは保健指導の効果や実施率の向上につながるものと期待される。そのためには健診の実施方法に工夫が必要である。次に, 喫煙は独立した動脈硬化性疾患の危険因子であるだけでなく, メタボリックシンドロームの発症のリスクを高めることも明らかになってきている。メタボリックシンドローム対策において喫煙は避けて通れない問題であり, 特定健診・特定保健指導をはじめ広く健診において喫煙者に対して禁煙の働きかけを行うことが重要である。最後に, ハイリスクストラテジーと合わせて, ポピュレーションストラテジーのための効果的な方法論の開発と普及を進めることが大切である。
  • 隈本 健司, 原田 サトミ, 伊藤 克之, 栗田 宏一, 原 信之
    2008 年 35 巻 2 号 p. 268-274
    発行日: 2008/03/10
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    平成20年度からメタボリックシンドロームの概念を取り入れた特定健診・特定保健指導 (以下, 新健診) が開始される。腹囲および/またはBMIによって保健指導対象者が抽出され (ステップ1) , 次いで血糖・脂質・血圧に関する検査と喫煙歴に関する問診によって階層化される。ステップ1で基準を満たさないために保健指導の対象外となる受診者 (以下, 保健指導対象外者) に高血圧, 糖尿病, 脂質異常症がどの程度含まれるかについて, 当協会における平成18年度の成績を用いて検討した。
    ステップ1に該当する受診者7, 859名のうち, 5, 075名 (64.6%) が保健指導対象外者となった。保健指導対象外者, および保健指導対象者となった受診者 (以下, 保健指導対象者) にそれぞれ関連学会の診断基準を用いて高血圧, 糖尿病, 脂質異常症の診断を行い, 該当するものを有病者 (以下, それぞれ対象外有病者, 対象内有病者) とした。また, 保健指導対象外者について, 学会の診断基準に従って中等症以上の高血圧, HbA1c6.5%以上の糖尿病, および脂質異常症でLDLコレステロール140mg/dl以上かつそれ以外の主要危険因子が1~2個ある中リスク群をそれぞれの確定有病者とした。治療中のものは除外した。
    対象外有病者は2, 030名で, 保健指導対象外者の40.0%であった。このうち, 単独の有病者は保健指導対象外者の31.6%であった。対象内有病者は1, 077名であり, 保健指導対象者の38.7%であった。
    対象外有病者のうち, 確定有病者の合計1, 088名は保健指導対象外者の21.4%, 対象外有病者の53.6%であった。対象外有病者の男の喫煙率は対象内有病者の男のそれに比べて有意に高かった (p<0.005) 。
    今回の成績は, 新健診において保健指導の対象外となる受診者のなかに生活習慣病有病者が比較的高率に含まれることを示唆し, これら有病者に対する何らかの施策の必要性を示す。
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