抄録
不明熱の原因疾患は様々であり,確定診断に至らない症例も少なくない。近年,悪性腫瘍のみならず,感染症や自己免疫疾患の炎症巣の検索にもPET (Positron Emission Tomography)が有用であることが多く報告されており,不明熱診断への応用も期待されている。
今回,当科で経験した不明熱症例を後向きに調査し,不明熱診療におけるPET/CTの有用性について検討した。
平成 22 年 1 月 1 日から平成 25 年 3 月 31 日までの期間に,当科(外来/入院)で診療を行った不明熱患者 46 例のうち, PET/CTを行った 15 例(男性 9 例,女性 6 例,平均年齢 57.5 歳)を対象とした。
そのうち従来の画像検査で診断がつかずPET/CTが診断確定もしくは治療選択に大きく寄与した症例は 5 例であった。
大腸癌に伴う傍腫瘍症候群や高安動脈炎,肝膿瘍,リンパ腫様肉芽腫症など疾患は多彩であり,PET/CTが不明熱患者の診断や治療方針決定に大きく寄与する症例も存在する。