2010 年 11 巻 2 号 p. 106-113
IDSA(Infectious Diseases Society of America、米国感染症学会)/ ATS(American Thoracic Society、米国胸部疾患学会)およびJRS(Japanese Respiratory Society、日本呼吸器学会)の成人市中肺炎ガイドラインに準拠して新たに作成したクリティカルパスを用いて、至適な入院期間を設定することを目的とし、いわゆるバリアンス分析を行った。このクリティカルパスの治療スケジュールは以下の通りである。初回治療としてβ-ラクタム注射剤と経口のマクロライド系抗生剤との併用を3日間行い、有効である場合は第7病日まで継続し、無効である場合はβ-ラクタム剤をキノロン注射剤に変更し、第10病日まで治療を継続する。2006年12月から2008年4月までに、18名の患者にこのクリティカルパスを使用した。便宜上、入院期間が10日間を越えた場合を負のバリアンスありとした。入院時のCRPと白血球数、第3病日のCRP、白血球数の減少率について解析した結果、第3病日の白血球数の減少率が低値を示すことが、入院期間延長の重要な要因と考えられた。