治験実施医療機関において「治験実施率の向上」は大きな課題である。飯塚病院で2003年度から5年間に契約し、2008年3月までに治験実施率の確定した外来患者を対象とする治験38件のプロトコールを回帰分析することにより、治験プロトコール因子の選択基準数、治験期間(日)、検査項目数が治験実施率に影響することが明らかとなった(ロジスティック回帰式:p=0.0048,R2=0.2456,ROC曲線下面積0.82)。3因子のパラメータについて尤度比検定でp値を求めたところ過去の一定期間で確定した治験実施率の中央値以上とする条件は、選択基準数が少なく、治験期間(日)が長く、検査項目数が多いことであることが判明した。また、検査項目内容は治験実施率に影響しないことも判明した(分散分析)。治験プロトコール因子の選択基準数、治験期間(日)、検査項目数を回帰式に代入することにより、契約治験の実施率が過去の治験実施率の中央値以上かどうかを治験契約時に予測することが可能となった(正判別率83.3%)。治験契約時に治験実施率を予測することは、治験実施管理において有用であると考える。