2014 年 15 巻 3 号 p. 193-196
新人看護師教育の問題として、卒前・卒後教育の乖離、看護技術習得レベルの低下、教育担当看護師の若年化と負担増加、指導看護師間の教育内容のばらつきなどが挙げられている。これらの問題を解決するためには、指導法・評価法を標準化した教育の連鎖を推進していく必要がある。そこで、「標準採血法・薬剤調製・点滴静脈注射」の3つの手技について、独自に客観的臨床能力試験(OSCE)テキストを作成し、その実施を試みた。さらに、OSCE実施前後でアンケート調査を行い、看護部OSCEの評価を行った。
57名の新人看護師に対して、実技演習後とOSCE実施1ヶ月後の自己評価習熟度を比較したところ、薬剤調製においてOSCE実施後が有意に高得点であった。また、採用時より6ヶ月後と10ヶ月後に、「標準採血法」実施のための8つのポイントに沿った、手順遵守率自己評価を行った。OSCE実施群と前年度のOSCE未実施群を比較すると、6ヶ月後の手順遵守率自己評価では、「患者と採血管の照合(p=0.003)」と「駆血し穿刺部を確認し採血(p=0.024)」で、OSCE実施群の有意性が示された。一方、10ヶ月後の手順遵守率自己評価では、両群間の差は認められなかった。
したがって、看護部OSCEは、新人看護師教育における指導法・評価法を標準化することができ、早期学習効果ならびに学習効果の持続に有効であると考えられる。