日本医療マネジメント学会雑誌
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事例報告
内容分析に基づく連携フォーマットの作成
飯嶋 久志大澄 朋香
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2015 年 15 巻 4 号 p. 242-246

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抄録

 複数医療機関を受診する患者情報管理では、情報の一元化が求められる。そこで、地域医療における情報共有媒体として、お薬手帳の活用を検討した。情報共有は新たに連携フォーマットを作成し、手帳に組み込むこととした。

 連携フォーマットは医療関係団体で協議し、さらに医療従事者の意見を反映した。フォーマットは医療現場で機能するか否か確認するため、患者と医療従事者を対象に半構造化インタビューを行い、有用性や問題点などを抽出した。

 医療関係団体による協議で提示された記述式とチェック式のフォーマットに対して、利用者のインタビュー結果を評価したところ、発話データからは69件が抽出され、「有効活用」31.9%、「阻害要因」8.7%、「課題」23.2%、「有用情報」36.2%の4領域に分類することができた。作成したフォーマットは患者や医療従事者間の連携や健康管理に活用され、今後更に広く利用されることが期待できた。しかし、解読困難な文字への対応や記載方法の習得などの改善も必要であることが明らかとなった。

 これらを踏まえてチェック欄と記載欄を別項にし、さらに残薬に関する項を追加するなどフォーマットを修正した。本調査で作成したフォーマットはお薬手帳に組み込み、2012年6月に市販した。今後、この手帳が医療連携に活用され、地域医療の質向上につながることが望まれる。

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