日本医療マネジメント学会雑誌
Online ISSN : 1884-6807
Print ISSN : 1881-2503
ISSN-L : 1881-2503
事例報告
医療補助員の業務委譲に向けた取組みと今後の課題
院内共通医療補助員業務手順書に基づいた実施状況調査からの考察
仁木 恵美子松本 厚子
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 17 巻 1 号 p. 33-36

詳細
抄録

 A病院では、チーム医療を推進させるために、医療補助員が増員され80名を超えた。医療補助員の教育背景は様々で、医療・介護に関する知識や技術を有していないため、教育には課題があった。そのため看護管理者は、看護職員と医療補助員が協働し、安全で質の高いサービスを提供するために、医療補助員に必要な知識・技術を明文化する必要があった。看護管理者は、看護職員に対し、医療補助員の業務内容や役割の理解を深め適切な業務依頼、業務委譲を行うこと、医療補助員に対しては、自らの業務を理解し、手順に沿った業務の実施ならびに業務の拡大を図ることを期待して、医療補助員業務を標準化した手順書を作成し、活用を推進した。

 今回、手順書に基づいた3ヶ月間の業務の実施状況を把握し、手順書の活用及び、業務委譲に関する今後の課題を明らかにする目的で調査を行った。結果は、1.「生活環境」「診療」の項目は、[実施したことがある]が80.6%、79.9%で、そのうち[一人でできる]は96.2%、94.1%、さらに[手順通りに行っている]は81.0%、85.8%であった。2.「日常生活」の項目は、[実施したことがある]は46.4%と低く、そのうち[手順通りに行っている]も67.7%と低かった。3.未実施の理由は[指導されていない]が42.3%であった。

 今後の課題は、指導されていないことによる未実施の項目を、積極的に指導し業務を委譲することと、手順書に沿った業務を徹底することである。

著者関連情報
© 2016 特定非営利活動法人 日本医療マネジメント学会
前の記事 次の記事
feedback
Top