2017 年 18 巻 2 号 p. 61-66
赤外線発信装置(ビーコン)と赤外線感知装置(センサー)を用いて、看護師等の業務量を自動的に計測することが可能であるが、その有効性を示した研究は少ない。本研究は、ビーコンとセンサーを用いた他計式タイムスタディの有効性および利活用の可能性を検証することを目的とした。また、同タイムスタディの利活用の可能性を検証するため、「重症度、医療・看護必要度」(看護必要度)の評価項目の妥当性、簡素化について検討した。
一般病院の1外科病棟において、2015年12月14日から27日まで、医療従事者のベッドサイド滞在時間を、ビーコンとセンサーを用いて自動的に測定した。多変量解析により交絡を調整し、看護師および看護補助者の患者別のベッドサイド滞在時間と看護必要度の評価項目との関係を解析した。
延べ687名の入院患者のデータを得た。医療従事者の患者1人1日当りのベッドサイド滞在時間は平均44分であった。看護必要度の評価項目およびその選択肢には、看護師および看護補助者のベッドサイド滞在時間に有意差が認められないものがあった。多変量解析では、看護必要度の評価項目のうち、創傷処置、呼吸ケア、シリンジポンプの管理、寝返り、食事摂取、衣服の着脱の6項目のみが、ベッドサイド滞在時間と有意な関連を示した。
本研究により、ビーコンとセンサーを用いた他計式タイムスタディの有効性と利活用の可能性を示すことができた。