2017 年 18 巻 3 号 p. 133-140
本研究は看護介入によって患者にもたらされる主観的なQOLを測定する「看護関連QOL尺度」の開発を目的とした。
看護関連QOL尺度の開発に必要なデータを得るために、入院期間が2日以上で退院日が決定している患者を調査対象とした。調査票は1255人に配布し、統計解析に際しては、回収できた1193人のうち調査項目に欠損のない820人のデータを使用した。看護関連QOLの測定項目として先行研究を参考に「健康」4項目、「生活」7項目、「存在」4項目を準備した。測定尺度の妥当性は内容的妥当性を探索的因子分析で、また構成概念妥当性を確認的因子分析で検討した。信頼性は内的整合性をω信頼性係数で検討した。妥当性と信頼性の検討に先立ち、多分相関係数により冗長性の高い項目を削除した。次いで、探索的因子分析により複数の因子に0.3以上の因子負荷量を示す項目を削除し、因子の解釈を行った。抽出された因子モデルのデータへの適合性は構造方程式モデリングによる確認的因子分析で検討した。
結果「健康」2項目、「生活」4項目、「存在」2項目を一次因子、看護関連QOLを二次因子とする3因子二次因子モデルはデータに適合し、看護関連QOL尺度の構成概念妥当性が検証された。
考察では、「看護関連QOL尺度」の構成概念妥当性の交差妥当性を検討しつつ、看護的な介入内容のみならず看護関連QOLに影響を及ぼす要因の解明が課題となることを議論した。