2021 年 21 巻 4 号 p. 219-223
医薬品安全管理責任者の責務として、医薬品の適応外使用や禁忌に該当する使用状況の把握と、医薬品の安全使用を目的とした改善の為の方策の実施が挙げられている。医薬品の安全な使用の推進を体系的に行うことは必須であり、上尾中央総合病院ではその責務を医薬品安全管理責任者と連携した委員会が担っている。トルバプタンは、警告や禁忌事項が多岐にわたり、安全使用に注意が必要である。今回、安全使用に関する問題点が提起され、組織的に許可制の導入や、使用状況のモニタリングの結果を共有する体制を確立し、有用性を評価した。対象は心不全における体液貯留に対してトルバプタンを使用した326名であり、介入前(8名)、許可制期間(12名)、安全な使用の推進期間(56名)、その後の観察期間(250名)において、添付文書の警告や禁忌の中から項目を定め、その遵守状況を比較した。全てを遵守した症例数は、介入前は1名(12.5%)、許可制期間12名(100.0%)、推進期間は38名(67.9%)、観察期間は205名(82.0%)であり、観察期間においても安全な使用が維持された。適応外使用や禁忌薬使用に対して、医薬品安全管理責任者が中心となり、組織的に検討することが重要である。多職種でリスクを共有することによって、安全使用に対する認識の向上につながり、その効果が長期的に維持されると考えられる。