医療マネジメント学会雑誌
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消化器外科におけるクリティカルパス運用の効果
多幾山 渉平林 直樹佐藤 幸雄佐々木 喜代子中野 真寿美亀田 彰
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2002 年 2 巻 3 号 p. 342-346

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抄録
[目的] 地域医療の中心的役割を担っている総合病院におけるクリティカルパス (以下、CPと省略) 導入の効果を、消化器外科領域に関して検討した。 [対象と方法] CP導入前後約1年間の胃癌幽門側胃切除例120例 (CP前81例、CP後39例) と、結腸癌開腹下結腸切除例62例 (CP前43例、CP後19例) に関し、入院日数、術後入院日数、術後経過、手術合併症、入院中の保険点数等を比較した。また、同時期に入院手術を受けた患者を対象に、CPに関するアンケート調査を実施した。 [結果] 幽門側胃切除ではCP導入前後の入院日数の平均値は34.9および28.6、術後入院日数平均値は22.9および17.8でそれぞれ有意にCP導入後に短縮していた。一方、結腸癌ではCP導入前後の入院日数の平均値は31.0および27.3、術後入院日数平均値は22.0および19.9でCP導入後に短縮傾向が見られたが有意差はなかった。術後合併症発生例においても胃および結腸癌ともにCP導入後に術後入院日数の短縮傾向が見られた。アンケート調査は78症例 (男性32、女性46) に行われ、その内43人がCPを使用していた。CP使用の有無と病気や診療内容に対する理解度には両群間に有意差は無かった。CP使用例に対する調査では、大部分の患者においてCPは入院生活への安心感、闘病意欲、治療への参加意識などに好影響を与えていることが認められた。 [まとめ] CP導入後未だ経過期間が短いが、医療の効率化や患者サービスの向上に対する有用性が認められた。
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