抄録
本研究は,人体に侵襲のないMRIを用いて,水平面における肩鎖関節と胸鎖関節の関節包内の構成運動を解析することを目的とした。対象は健常女性13名(平均年齢20.8歳)とした。課題は以下の3種類とした。課題(1):背臥位における右肘関節90°屈曲位での右肩関節90°屈曲位,課題(2):課題(1)からの右上肢帯最大前方突出位,課題(3):課題(2)からの右肩関節最大水平屈曲位。結果,課題(2)では,肩鎖関節よりも胸鎖関節の動きが主となっており,胸鎖関節で鎖骨胸骨端が凹の法則で腹側方向に転がり滑り運動を生じた。肩鎖関節では,肩峰内側縁のわずかな腹側への滑りを生じた。課題(3)では,胸鎖関節よりも肩鎖関節の動きが主となっており,肩鎖関節で肩峰内側縁が凹の法則による腹内側方向への転がり滑り運動を生じた。今回の結果から,生体での水平面における肩鎖関節と胸鎖関節の関節包内の構成運動の程度が明らかとなった。