耳鼻と臨床
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原著
当科における甲状腺癌に対するレンバチニブ治療経験
山内 盛泰峯崎 晃充佐藤 有記倉富 勇一郎
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2018 年 64 巻 6 号 p. 228-236

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抄録

2015 年 5 月から 2017 年 8 月までの 2 年 3 カ月間に当科でレンバチニブ治療を行った甲状腺癌 8 例について検討を行った。性別は男性 5 例、女性 3 例。年齢は 59 − 77 歳で中央値は67.8 歳。組織型は乳頭癌が 5 例、髄様癌が 2 例、扁平上皮癌が 1 例。治療対象病変は一次根治後の再発病変が 5 例、一次非根治病変に対してが 3 例であった。生存期間中央値は 12.9 カ月であった。最良総合効果は PR が 6 例、SD が 1 例、PD は 1 例であり、奏効率は 75%であった。有害事象としては高血圧、疲労、手足症候群、下痢は全症例でみられ、悪心・嘔吐は 6 例、血小板数減少は半数でみられた。全症例で経過中に休薬、減量が行われていた。レンバチニブ治療によって病勢のコントロールが得られなかったのは 1 例のみで、5 例では 1 年以上の PR 維持が可能であった。扁平上皮癌症例についてはまれであるため症例を提示する。

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