2022 年 68 巻 3 号 p. 203-207
Madelung 病(良性対称性脂肪腫症)は頸部や体幹、四肢などに対称性、多発性に脂肪が蓄積する疾患である。気道狭窄を伴い気管切開を要した Madelung 病の 1 例を経験したので考察を加えて報告する。症例は 64 歳、男性で、長年のアルコール多飲歴があった。 嗄声や頸部腫脹、労作時呼吸困難を主訴に受診し、頸部皮下・喉頭内への脂肪沈着による気道狭窄を認めた。禁酒の上、左頸部・喉頭内の脂肪組織除去、気管切開術を行った。待機的に対側の脂肪組織除去を行い、最終的に気管切開孔の閉鎖を予定していたが、退院後より飲酒を再開した。レティナ® を装用し状態は落ち着いており、本人も追加の手術はせずに経過観察を希望したため、レティナ® 装用での経過観察の方針となった。本疾患は気道閉塞などの機能異常を認めた際には積極的に外科的治療を検討することが重要であり、喉頭周囲に病変を認める場合は特に周術期の気道管理に注意を要する。