多形腺腫はまれに鼻副鼻腔に発生することがある。鼻中隔に発生した多形腺腫例を報告する。症例は 58 歳、男性。主訴は右鼻閉と右鼻出血、右前鼻孔を塞ぐ表面平滑な腫瘍を認めた。画像検査では右前鼻腔に軟部組織陰影を認め、CT では軽度の造影効果を有した。MRI では T1 強調像で等信号、T2 強調像で不均一な高信号を示し、均一な造影効果を有した。術前の病理生検では異形を伴う乳頭腫の疑いであった。全身麻酔下に内視鏡手術を行った。基部は鼻中隔粘膜で 1 cm の安全域を設けて切除した。術後の病理検査で多形腺腫と診断した。鼻副鼻腔の多形腺腫は良性腫瘍であるが大唾液腺同様に悪性化する可能性があり、その鑑別は重要である。術前に診断が確定しないこともあり、確実な切除と術後の経過観察が重要である。