2022 年 68 巻 5 号 p. 334-339
今回われわれは、放射線化学療法が奏功した EBER(Epstein-Barr virus encoded small RNA)陽性蝶形骨洞癌の 1 例を経験したので報告する。症例は 56 歳、男性。難聴、眼球運動障害など多彩な脳神経症状を呈し、鼻内視鏡下に生検した結果、EBER 陽性非角化型扁平上皮癌の診断となった。頭蓋底に広範囲に浸潤しており根治手術は困難と判断し、放射線化学療法を選択した。シスプラチン併用 IMRT(intensity modulated radiation therapy)を施行後、追加治療として S1(テガフール、ギメラシル、オテラシルカリウム)内服治療を行った結果、CR(complete response)判定となった。治療後 2 年、明らかな再発転移は認めていない。蝶形骨洞癌の治療方針決定には、年齢や PS(performance status)、腫瘍の進展度、および EBER を含めた病理組織学的検討が重要と考えられる。