耳鼻と臨床
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症例報告
上咽頭癌化学放射線療法後の持続性耳漏を伴う難聴に対し Baha 植込みを行った 1 例
久冨木 冠我那覇 章中村 雄津曲 省吾東野 哲也
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2023 年 69 巻 3 号 p. 199-207

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抄録

骨固定型補聴器(以下、Baha)システムにおけるインプラントの生存には osseointegration が重要である。化学療法や放射線治療は osseointegration に悪影響を及ぼすことが知られているが、化学放射線療法後の Baha に関する報告は少ない。本報告では、上咽頭癌に対する化学放射線療法後に行った Baha について報告する。53 歳の男性が上咽頭癌の化学放射線療法後の左持続性耳漏と難聴を主訴に当科を受診した。右耳は中耳癌に対する側頭骨亜全摘術後の聾であった。術前 CT 画像シミュレーションにおける左インプラント想定部位は頭頂骨に位置し、従来の上咽頭癌に対する放射線療法の照射野外であると判断した。左頭頂骨に皮下組織保存による Baha 植込み術を行った。術後の Baha 装用閾値は 28 dB、最高語音明瞭度は 90%であり、良好な装用効果を認めた。Baha 植込み後、患者は補聴器装用が不要となり、耳漏は停止した。術後 2 年の経過観察期間において皮膚・皮下組織合併症を認めず、共鳴振動周波数分析を用いたインプラントの安定性評価における ISQ 値は 52 であった。

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