2025 年 71 巻 5 号 p. 235-238
上咽頭癌に対する化学放射線療法(chemoradiotherapy:CRT)後には、耳管機能障害や中耳粘膜の線維化、局所の血流障害などにより、鼓膜穿孔の自然閉鎖が困難となることがある。今回われわれは、CRT後の上咽頭癌患者に発症した鼓膜穿孔に対し、有茎耳後部頭蓋骨膜弁を用いた鼓室形成術を施行し、良好な治癒を得た症例を経験した。再建に血流の保たれたフラップを用いることにより、治癒環境の悪化した放射線治療後の中耳においても、鼓膜閉鎖を得ることが可能であると考えられた。