抄録
内外リンパ液のCa2+の有無がカエル半規管膨大部神経電位に及ぼす影響について研究した. カエル摘出後半規管に機械的内リンパ流動による刺激を与え, 惹起された膨大部神経電位の変化を記録した. 内外リンパ液両者ともにCa2+が含まれない場合, 刺激に対する反応は認められなかった. 内リンパ液にのみCa2+が含まれ外リンパ液にCa2+が含まれない場合にも, 反応は惹起されなかった. 一方, 外リンパ液にのみCa2+が含まれ内リンパ液にCa2+が含まれない場合には, 反応が惹起された. 以上の結果より, 外リンパ液中のCa2+は半規管の機械的受容器としての機能を維持するために必要であると考えられた.