情報通信政策研究
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調査研究ノート(査読付)
無線通信の国際規律を巡る対立構造
菅田 洋一
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2020 年 4 巻 1 号 p. 145-158

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抄録

携帯電話やWiFi、衛星通信に代表される無線通信は、既に現代社会の社会経済活動に欠かせない存在となっているが、電波を使用する特殊性から、有線の通信と比べて各国・事業者に課される制約は多い。世界各国が国際拘束力を有す規律を遵守することではじめて、混信のない、適正で安定的な電波の利用が維持できる。こうした無線通信の国際規律は「無線通信規則(RR:Radio Regulations)」に集約されているが、第5世代移動通信システム(5G)など新たな無線通信システムの導入等に際して改訂される。

この改訂は、3~4年毎に開催される世界無線通信会議(WRC)で決定されるが、各国政府、通信事業者、製造業者等は、自国あるいは自社に有利な技術や運用ルール、又は、既存システムを十分保護できる基準等を含む規律の制定を目指す。近年の5G等の無線通信技術の開発競争は、欧米・日本主導から韓国、中国等の新興国主導へとシフトしつつある。WRCでの審議は、こうした無線通信分野の目覚ましい技術発展や無線局種・局数の増大に伴う周波数資源のひっ迫、加えて、これら技術要素以外の各国等の思惑が絡まって複雑化し、利害関係のある地域・国・関係者間の対立はますます厳しくなっている。

本稿では、RRの改訂過程で生じる地上業務vs宇宙業務の代表的な対立構造として、「新規・従来システム間の対立構造」、「近接国間の対立構造」、「地域グループ間の対立構造」を取り上げ、これらの具体的な事例を分析し、国際規律の合意に当たっての考え方やその改善の状況等について明らかにするとともに、この結果を踏まえた今後の課題や方向性を探る。

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