エレクトロニクス実装学会誌
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Sn-3.5Ag鉛フリーソルダヘのPb添加による電気化学的ぬれ性改善機構
竹本 正舟木 達弥穴田 隆昭二宮 隆二松縄 朗
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1999 年 2 巻 7 号 p. 535-540

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抄録

Sn-3.5Ag鉛フリーソルダのPb添加によるぬれ性改善効果をソルダリングフラックスの電気化学的作用に基づき検討した。はんだと母材のうち, はんだ中のSnが最も安定な酸化物を形成するので, 銅母材との電気化学的接触によるSnの優先溶解は酸化皮膜除去によるぬれ性向上に有益である。しかしながら, Sn-3.5Agはフラックス中における電位が母材銅とほぼ同等のため, 銅母材との接触によるアノード溶解促進効果が小さい。ぬれ性改善にはSn-3.5Agの電位低下が銅母材との接触によるはんだの優先溶解を促進し有効と思われる。そこで, Pbの2~10%添加効果をフラックス中での電気化学的測定により調べた。その結果, Pb添加によりSn-3.5Ag-2~10Pbの電位は卑となり, 銅との電位差が大きくなり, 両者の接触による腐食電流が増大した。このことと対応して, すべてのPb添加はんだでは広がり試験の広がり面積が大きくなり, すなわち, 接触角が小さくぬれ性の改善が確認された。はんだ/母材間の電位差に基づく接触腐食電流の大小によるぬれ性への影響機構を提案した。

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