腸内細菌学雑誌
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Lactobacillus plantarumを用いて調製した発酵乳の生理機能I
Lactobacillus plantarumの大腸到達性および健康成人の糞便細菌叢に及ぼす影響
久米村 恵戸羽 正道曽川 芳郎清水 精一川口 信三
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2001 年 15 巻 1 号 p. 15-20

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抄録

Lactobacillus plantarum ONC141株のヒトにおける大腸到達性およびそれを用いて調製した発酵乳の継続摂取が健康成人の糞便細菌叢に及ぼす影響についてそれぞれ検討した.はじめに, 健康成人6名にL.plantarumONC141株を用いて調製した発酵乳 (生菌数5.3×108CFU/ml) を1日200mlずつ1週間摂取させ, 摂取前, 摂取1日目, 2日目, 4日目, 7日目の糞便を回収し, 投与したL.plantarumONC141株の分離同定を行った.その結果, 発酵乳摂取1日目以降全ての被験者から糞便1g当たり107.8~108.4個のL.plantarum ONC141株が検出された.次に, 健康成人男女21名に, L.plantarum ONC141株を用いて調製した発酵乳 (生菌数7.1×107CFU/ml) または市販牛乳をそれぞれ1日300mlずっ4週間継続摂取させ, 摂取前後の新鮮糞便を採取して糞便細菌叢を検索した.その結果, 発酵乳群 (11例) では,.BifidobacteriumおよびLactobacillusの菌数は摂取前に比べ有意に増加し, 牛乳群 (10例) の摂取後の値に比較しても有意に高値を示した.また, Bifidobacteriumの占有率も, 発酵乳の摂取により, 20.9±13.0%から44.1±19.5%へと顕著に増加し, 牛乳群に対しても有意に高値を示した.これらの結果から, 今回用いたL.plantarum ONC141株は, 生きたまま大腸へ到達すること, さらにその菌株を用いて調製した発酵乳の摂取により糞便細菌叢のバランスを改善できることがわかった.

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© 財団法人 日本ビフィズス菌センター
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