2021 年 71 巻 4 号 p. 199-206
本研究では生産現場における触覚検査作業のひとつである段差の判別を想定し,品質基準となる段差の高さと製品に発生した段差の高さが段差の判別精度に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした.被験者は健常な成人男性10名とし,触覚によって知覚して記憶した判別の基準となる段差(基準高さ)に対して,判別の対象となる段差(比較高さ)が“高い”か“低い”か“同じ”かを判別した.評価項目は判別の正答率と押圧力とした.実験の結果,記憶した基準高さを実際より高く想起することによる誤判別が発生することが明らかになった.また,押圧力の影響はほとんどなかった.これらの結果から,不良品の基準が段差の規格値を含むかどうかにより,第二種過誤による不良品の流出リスクが異なる可能性が示唆された.