日本経営工学会論文誌
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71 巻, 4 号
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<特集―地域活性化に資する経営工学>
原著論文(事例研究)
  • ―K市のふるさと納税への適用事例―
    藤井 秀幸, 傅 靖, 小林 里佳子
    2021 年 71 巻 4 号 p. 149-172
    発行日: 2021/01/15
    公開日: 2021/02/15
    ジャーナル フリー

    ふるさと納税は寄付者が日本全国の自治体へ寄付できる制度である.寄付者は,寄付に対して,寄付した自治体(寄付者が住んでいる自治体を除く)から地場産業の返礼品を得ることができ,所得税の還付と住民税の控除も受けられる.近年,地方政府の間にふるさと納税制度を利用した寄付を募る競争は段々と激しくなってくる.本稿では,日本全国の参入自治体,K市における協力業者と返礼品をそれぞれ分析対象とし,データ包絡分析法を用いて効率分析を行う.分析から導き出された効率値と改善値に基づき,K市からの2つの質問への回答を示す:(1)ふるさと納税におけるK市の強みとは何か?(2)競争力を高めるために返礼品のラインアップはどのような見直しが必要なのか?K市のふるさと納税への戦略提案を行うため,まず他の自治体の効率値,入力値及び出力値と比較しK市の改善点と参照集合を暫定的に決定する.そしてK市の協力業者と返礼品の効率値に基づき,クロス分析を行い返礼品ラインアップの見直し提案を行う.

  • 小林 悠人, 伊呂原 隆, 関 昌之, 井上 法和, 末岡 知之
    2021 年 71 巻 4 号 p. 173-184
    発行日: 2021/01/15
    公開日: 2021/02/15
    ジャーナル フリー

    本研究では,川崎市の臨海部における道路沿道の環境負荷低減を目的として,セルオートマトン法を用いた交通流シミュレーションモデルを提案した.具体的には,出発地から目的地までの間で複数の走行経路が選択できる場合に,大気環境への負荷が小さく,所要時間の低減など経済的にメリットがある経路を見出した上で,運送事業者への啓発などを通して,大型ディーゼル車等の大気環境への影響が大きい車両の走行経路の変更を促し,交通量の抑制や集中の平準化により道路沿道環境の改善を図ろうとするものである.数値実験では,大型車の混入率や経路変更台数の変化がどの程度NOxの排出量に影響を与えるのかの検証を行った.

<一般論文>
原著論文(理論・技術)
  • 松永 博英
    2021 年 71 巻 4 号 p. 185-198
    発行日: 2021/01/15
    公開日: 2021/02/15
    ジャーナル フリー

    近年,旺盛な航空需要により,航空交通量が増大している.一方,航空ネットワークの混雑空港では,空港と航空路の容量の不足により,航空機群の効率的な処理と円滑な運航が制約を受け,この制約により遅延が増加し,共に社会的な損失である.しかし,先行研究の局所的な取り組みは必ずしも実務で功を奏していない.このため,航空ネットワークの全体的なパフォーマンスの改善が社会的な課題である.

    本研究では,一連の発着・走行・駐機が反復する航空機群の挙動量(遅延)の指標に着目し,挙動量の調整による処理量(スループット)の改善を目的とした.まず,局所的な地上走行を例に全体的な遅延と比較し,次に,遅延の調整そのものが運用面のスループットの改善に有効なことを確認した.更に,新たに発着の折返し(ターンアラウンド)を含むスループットや遅延のそれぞれの発着の均衡も確認した.

  • 肥田 拓哉, 岸 一輝, 松本 俊之
    2021 年 71 巻 4 号 p. 199-206
    発行日: 2021/01/15
    公開日: 2021/02/15
    ジャーナル フリー

    本研究では生産現場における触覚検査作業のひとつである段差の判別を想定し,品質基準となる段差の高さと製品に発生した段差の高さが段差の判別精度に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした.被験者は健常な成人男性10名とし,触覚によって知覚して記憶した判別の基準となる段差(基準高さ)に対して,判別の対象となる段差(比較高さ)が“高い”か“低い”か“同じ”かを判別した.評価項目は判別の正答率と押圧力とした.実験の結果,記憶した基準高さを実際より高く想起することによる誤判別が発生することが明らかになった.また,押圧力の影響はほとんどなかった.これらの結果から,不良品の基準が段差の規格値を含むかどうかにより,第二種過誤による不良品の流出リスクが異なる可能性が示唆された.

原著論文(事例研究)
研究速報
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