2022 年 72 巻 4 号 p. 212-221
従来,現場の経験や勘に基づいて実践されていたサービス産業における生産性向上の取り組みに対して,科学的・工学的な側面からアプローチする取り組みが近年数多く報告されている.本研究では,惣菜等のテイクアウト販売ならびに定食の提供を行う外食店舗を考察対象として,そこでの業務改善を実施した結果を事例研究としてを報告する.店舗で観察される売り逃しの抑止に向けて,離散イベント型のシミュレーション・ツールを利用して待ち行列モデルを構築する.この分析結果に基づき,作業分析手法を利用して店舗の業務効率の改善を図っている.店舗には複数の店舗内作業を支援する応援作業者が配置されているが,従来の作業分析手法だけでは解決が難しかった応援作業者の分析や改善計画の検討を,シミュレーション・ツールを利用して行っている点が本研究の特徴といえる.