抄録
時系列分析による需要予測において, モデル同定はデータ解析の面からいってきわめて重要である.ここでは, 加法モデル, 乗法モデル, 変形乗法モデルにおけるデータ系列の分散と予測誤差の自己共分散の特性について研究した.その結果, 乗法モデルと変形乗法モデルにあっては, データ系列からのランダム項の分離は不可能なことが明らかにされた.加法モデルについては, 系列差分法を拡張した方法でモデル同定を試みた.すなわち, 2元分散分析法により, 季節要素と傾向要素の二つの変動要素の分離をはかり, 各要素を多項式としてその次数を推定した.さらに, 欠測値補間に基づく予測により, モデル同定が正しいことを数値例を用いて検証した.