日本食生活学会誌
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魚類の栄養成分に対する調理方法の影響
特にEPA, DHAおよびTaurine含量について
青木 隆子菅原 龍幸
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1999 年 10 巻 3 号 p. 81-100

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抄録

7魚種について, 種々の加熱方法 (焼く, 煮る, 電子レンジ, 揚げる) で調理した場合の栄養成分 (一般成分, 無機質含量, 遊離アミノ酸含量, コレステロール含量, 脂肪酸組成, EPAおよびDHA含量) について分析を行い, その結果について検討した.
1. 切り身で調理した場合
水分の減少が著しく, 見かけ上, ミネラル, タウリン, EPAおよびDHA含量が増加した.
2. 丸十尾) で調理した場合
1) 脂質含量の少ない魚 (5%以下) 脂質の滲出や溶出よりも水分減少の方が大きく, 見かけ上, 脂質含量の増加により, EPAやDHAの増加が認められたが, タウリン含量は減少した. 揚げ物の場合は, 揚げ油と魚油の置換によりEPAやDHA含量は約50%以下に減少した. また, タウリン含量も減少した.
2) 脂質含量の多い魚 (17%以上)
脂質の滲出や溶出が著しく, 見かけ上水分含量は増加し, タウリン含量は焼く調理で増加の傾向であった. しかし, EPAやDHA含量は約50%の減少であった.
3) 脂質含量が1) と2) の中間の魚脂質の滲出と共に水分含量も減少し, EPAやDHAおよびタウリンは減少の傾向を示した. この傾向は, 焼く調理で大きかった.
高度不飽和脂肪酸は, 熱, 光などに特に不安定とされているが, 一般的な加熱調理直後では, 脂肪酸組成に顕著な差は認められなかった. すなわち, 分解, 消失することはほとんどない. しかし, EPAやDHA含量は調理方法や漁獲時の脂質含量によって顕著な差が認められた.

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